海外ジャーナルクラブ
1年前
ヒスタミン受容体拮抗薬 (H₂RA)の1つであるラニチジンは、2019年に微量の発がん性物質が検出されたことを受け、国内でも供給停止が続いている。Youらは、 ラニチジンおよび他のH₂RAの使用に伴う癌発症のリスクについてネットワークコホート研究で比較検討した。 その結果、 ラニチジンの使用は、 他のH₂RA使用と比べ、 癌発症のリスク増加と関連していなかった。ただし、長期的な影響についてはさらなる研究が必要であることが示された。 本研究は、 JAMA Netw Openで発表された。
サブグループ解析ですが、 アジア人においては有意にラニチジン使用と癌発症に関連がありますし、 まだまだ結論に至る段階ではないようです。
1986年1月~2020年12月に、 ラニチジンまたは他の3種類のH₂RA (ファモチジン、 ラフチジン、 ロキサチジン) を30日以上使用し、 登録前1年間はH₂RAは使用せず、 かつ癌の既往がない成人患者:118万3999例を抽出し、 ランダム効果モデルを用いたメタ解析によりHRを求めた。
非メラノーマ皮膚癌を除く全癌の発症率
甲状腺癌を除く全ての癌、 および16の癌サブタイプの発症率
ラニチジンの新規使用者は90万9168例、 他のH₂RAの新規使用者は27万4831例であった。
1,000人・年当たりのがん粗発症率
傾向スコアマッチング後の解析においても、 ラニチジン群と他のH₂RA群で癌発症率はほぼ同等であり、 HRも有意差はなかった。
1,000人・年当たりの癌発症率
副次評価項目に関しても、 経験的較正後にはラニチジン使用とがん発症との有意な関連は認められなかった。
ラニチジン使用は他のH₂RA使用と比較して癌リスクを増加させなかった。 しかし、 ラニチジンと癌発症との長期的関連については、 さらなる研究が求められる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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