HOKUTO編集部
2年前
今月 (2023年2月16~18日)、米・サンフランシスコで開催された 「米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム (ASCO GU 2023) 」 の注目演題をまとめました。 ぜひご利用下さい。
転移性去勢抵抗性前立腺がん (mCRPC) の一次治療において、 経口アンドロゲン受容体拮抗薬エンザルタミドにPARP阻害薬talazoparibを併用する有効性および安全性をエンザルタミド単独投与を対照に検証した二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相ランダム化比較試験TALAPRO-2。 同試験の結果から、 talazoparib併用投与により、 主要評価項目の画像診断に基づく無増悪生存期間 (rPFS) の有意な改善が認められた。
米・University of UtahのNeeraj Agarwal氏が、 米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム (2月16〜18日、 ASCO-GU 2023) で発表した。
同試験の対象は、 未治療かつ全身状態 (ECOG PS) が0〜1の転移性去勢抵抗性前立腺がん (mCRPC) 患者。
同試験はコホート1〔相同組み換え修復 (HRR) 関連遺伝子変異が陽性169例+陰性または不明636例〕とコホート2 (コホート1のHRR陽性例を含むHRR陽性399例) から構成。 今回はコホート1 (all-comers) の結果が報告された。
登録患者805例が、 エンザルタミド (160mg、 1日1回) にtalazoparib (0.5mg) を併用する群 (talazoparib群、 402例) とプラセボ併用群 (403例) に1:1でランダムに割り付けられた。
主要評価項目は盲検下独立中央判定 (BICR) によるrPFS。 主要な副次評価項目は全生存期間 (OS) だった。
腫瘍組織におけるHRR関連遺伝子 (BRCA1、 BRCA2、 PALB2、 ATM、 ATR、 CHEK2、 FANCA、 RAD51C、 NBN、 MLH1、 MRE11A、 CDK12) の変異状況については、 がん遺伝子パネル検査 (FoundationOne CDx および/またはFoundationOne Liquid CDx) を用いて前向きに評価された。
両群の患者背景は同様だった。
talazoparib群、 プラセボ群でそれぞれ、 年齢中央値は71歳 (範囲41〜90歳)、 71歳 (同36〜91歳)、 前立腺特異抗原 (PSA) の中央値は18.2ng/mL、 16.2ng/mL、 アビラテロンまたはドセタキセルによる前治療歴は5.2%/21.4%、 6.2%/23.1%。 HRR関連遺伝子変異陽性例は21.1%、 20.8%で、 うち多く認められた遺伝子はCDK12 (5.7%、 7.2%)、 BRCA2 (5.7%、 6.9%)、 ATM (5.7%、 3.5%) だった。
データカットオフ日は2022年8月16日で、 追跡期間中央値はtalazoparib群24.9カ月、 プラセボ群24.6カ月。
試験の結果、 BICR評価によるrPFS中央値はプラセボ群の21.9カ月 (95%CI 16.6〜25.1カ月) に対し、 talazoparib群では未到達 (NR、 95%CI 27.5カ月〜NR) で有意に延長していた (HR 0.63、 95%CI 0.51〜0.78、 P<0.001)。 担当医評価によるrPFS評価においても、 talazoparib群で有意な延長が認められた (HR 0.64、 95%CI 0.50〜0.81、 P<0.001)。
talazoparib群におけるrPFSの延長効果は、 HRR関連遺伝子の変異状況を含むいずれのサブグループにおいても認められた。
前向きな腫瘍組織におけるHRR関連遺伝子変異の評価で、 HRR機能が失われていなかった (陰性) 症例に限定したrPFS評価では、 rPFS中央値はプラセボ群の22.1カ月 (95%CI 16.6カ月〜NR) に対し、 talazoparib群ではNR (同25.8カ月〜NR) だった (HR 0.66、 95%CI 0.49〜0.91、 P=0.009)。 すなわち、 HRR関連遺伝子の状況にかかわらず、 talazoparib群におけるrPFSの改善効果が認められた。
OSについては、 今回は中間解析の結果 (31% maturity) が報告された。 イベント数はtalazoparib群で123件、 プラセボ群で129件発生。 OS中央値はtalazoparib群で36.4カ月 (95%CI 33.5カ月〜NR)、 プラセボ群でNR (33.7カ月〜NR) だった (HR 0.89、 95%CI 0.69〜1.14、 P=0.35)。
PSA増悪までの期間 (P=0.002)、 殺細胞性抗がん薬の投与までの期間 (P<0.001)、 PFS2 (ランダム化後に二次治療による進行または死亡を認めるまでの期間、 P=0.04) のいずれの評価においても、 talazoparib群で良好であった。
治療関連の有害事象 (TEAEs) はtalazoparib群、 プラセボ群でそれぞれ、 グレード3/4は71.9%、 40.6%、 グレード5 (死亡) は3.3%、 4.5%。 talazoparib群で最も多く認められた減量を要したTEAEsは貧血 (43.2%)、 好中球減少症 (15.1%)、 血小板減少症 (5.5%) だった。
健康関連QOL (global health status/quality of life;GHS/QoL) の評価においても、 GHS/QoLの悪化までの期間中央値はプラセボ群の25.0カ月 (95%CI 22.9〜30.4カ月) に対して、 talazoparib群では30.8カ月 (同27.0〜39.6カ月)と有意な延長を認めた (HR 0.78、 95%CI 0.62〜0.99、 P=0.04)。
未治療mCRPCへのオラパリブ併用でOS中央値が42.1カ月に
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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