海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Krämerらは、 未治療の非扁平上皮性非良性原発不明癌を対象に、 分子腫瘍委員会による包括的ゲノム解析 (CGP) に基づき担当医が個別に選択した分子誘導治療の有効性および安全性について、 標準治療であるプラチナ製剤ベースの化学療法を対照に第Ⅱ相多施設共同非盲検実薬対照無作為化比較試験CUPISCOで検証。 その結果から、 CGPに基づく個別化分子誘導治療が患者の無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長させたことが示された。 本研究はLancetにおいて発表された。
一般化が今後の大きな課題となりますが、 そのスタートとしての大きな成果です。
原発不明癌患者は、 標準的なプラチナ製剤ベースの化学療法で治療を行っても予後不良であることが知られている。 CGPを用いた個別化分子誘導治療が患者の予後を改善できるかどうかは、 これまで明らかにされていない。
CUPISCO試験では、 新規に診断された予後不良の非扁平上皮原発不明癌において、 CGPを用いた個別化分子誘導治療が標準的なプラチナ製剤ベースの化学療法よりも転帰を改善するかどうかを検証した。
中央判定で病変 (腺癌、 低分化癌) が確認され、 ECOG PSが0または1で、 プラチナ製剤ベースの1次治療 (3サイクル) で病勢コントロールを達成した18歳以上の患者とした。
主要評価項目は、ITT集団における担当医の評価によるPFSとし、 無作為化から RECIST ver 1.1 に基づく最初の病勢進行の発生またはあらゆる原因による死亡のいずれか早いほうまでの時間と定義された。
HR 0.72 (95%CI 0.56-0.92)、 p=0.0079
治療中止に至った重篤な有害事象 (AE) と致死的な結果に至ったAEを除き、 他のすべてのカテゴリーにおいて、 個別化治療群は化学療法群に比べてAEの発現率が低いか同程度だった。
治療中止に至った重篤な有害事象の発現率
致死的な結果に至ったAEの発現率
著者らは 「未治療の非扁平上皮性原発不明癌において、 CGPに基づく個別化分子誘導治療は標準的なプラチナ製剤ベースの化学療法に比べてPFSを有意に延長した。 この結果から、 非良性原発不明癌の初回診断時にCGPを実施することが推奨される」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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