海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前

Landmesserらは、 ガイドラインで推奨されるLDL-Cの管理目標値を達成していない高コレステロール血症があり、 心血管リスクが高い、 または非常に高い患者を対象に、 個別に最適化された脂質低下療法(ioLLT)にPCSK9を標的とする低分子干渉RNA (siRNA) 製剤インクリシランを併用する治療戦略(インクリシラン+ioLLT)の有効性および安全性をioLLTとプラセボの併用(プラセボ+ioLLT)と比較する無作為化比較試験VICTORION-Differenceを実施。 その結果、 プラセボ+ioLLT群と比べてインクリシラン+ioLLT群では90日時点のLDL-C目標値の達成率が高かった。 試験結果はEuropean Heart Journalに発表された。
本試験では死亡率への影響は評価されておらず、 また医療経済学的効果についても比較されていないため、 今後の検討課題です。
「成人家族性高コレステロール血症診療GLフォーカスアップデート2025」 発刊
LDL-C高値は動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD) の発症と進展のリスク因子であり、 欧州心臓病学会 (ESC) ガイドラインは心血管リスクに応じたLDL-C目標値を達成するため脂質低下薬の併用治療を推奨している。 肝臓のPCSK9のメッセンジャーRNA (mRNA) を標的とするsiRNA製剤インクリシランは、 持続的かつ効果的なLDL-C低下をもたらしうる。
本試験は心血管リスクが高いか、 非常に高い高コレステロール血症の成人を対象とした第4相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験である。 対象は以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
両群ともioLLTを併用し、 各患者で個別に設定されたLDL-C目標値を達成するまで、 またはスタチン最大耐用量に達するまでロスバスタチン (非盲検) を漸増した。インクリシラン+ioLLT群ではインクリシランナトリウム300mg(インクリシラン284mg相当)を皮下投与した。
主要評価項目は90日時点のLDL-C目標値の達成率であった。 主要な副次評価項目は筋関連有害事象(MRAE)と平均LDL-C値のベースラインからの変化率であった。
無作為化の対象となった患者は1,770例(平均年齢63.7歳)だった。 90日時点で個別に設定されたLDL-C目標値を達成した患者の割合は、プラセボ+ioLLT群の31.0%と比べてインクリシラン+ioLLT群では84.9%と有意に高かった(オッズ比[OR]12.09, p<0.001)。
ベースラインから360日までの平均LDL-C低下率も、 プラセボ+ioLLT群の-24.3%と比べて、 インクリシラン+ioLLT群では-59.5%と大きかった(最小二乗平均治療差[LSMTD]-35.14%, p<0.001)。
MRAEを報告した患者の割合は、 プラセボ+ioLLT群の19.2%と比べて、 インクリシラン+ioLLT群では11.9%と少なかった(OR 0.57, p<0.001)。 Short Form-Brief Pain Inventory(SF-BPI)における疼痛重症度スコアと生活障害スコアの低下率はいずれもプラセボ+ioLLT群と比べてインクリシラン+ioLLT群で大きかった(疼痛重症度スコア:LSMTD-0.11, p=0.039、 生活障害スコア: LSMTD-0.11, p=0.029)。
新たな安全性の懸念は認められなかった。
著者らは、 「高コレステロール血症患者のLDL-C目標値の達成において、 インクリシランを用いた治療戦略はioLLTと比べて優れており、 早期から持続的なLDL-Cの低下をもたした一方、 筋関連有害事象は少なかった」と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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