HOKUTO編集部
10ヶ月前

2025年6月にイタリア・ミラノで開催された欧州血液学会 (EHA 2025) において、 Plenary Sessionで発表された注目の3演題について、 大阪国際がんセンター血液内科副部長の藤重夫先生にご解説いただきました。
JNJ-79635322 (JNJ-5322) は、 多発性骨髄腫 (MM) 治療のために新たに開発された次世代三重特異性抗体で、 BCMA、 GPRC5D、 CD3を認識し、 BCMAおよびGPRC5Dを発現するMMにT細胞を動員して抗腫瘍効果を発揮すると考えられる。
第I相試験における用量漸増/拡大時に、 100mg投与以降でBCMAおよびGPRC5Dに対する治療を受けていない例の奏効率は100%、 かつほぼ全例がVGPR (非常に良好な部分奏効) 以上を示しており、 その治療効果が期待できる。 また有害事象についても管理可能な範囲であり、 特に抗IL-6抗体トシリズマブを予防投与することでサイトカイン放出症候群 (CRS) 関係が予防できるとされた。
Discussionでは意外にも味覚障害について議論されていたが、 従来のCTCAEなどでは細かい評価がしにくく、 新たな評価系が必要と感じられた。
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第Ⅲ相POLARGO試験は、 再発または難治性 (R/R) のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) に対し、 抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンをリツキシマブ+ゲムシタビン+オキサリプラチン併用 (R-GemOx) に上乗せ (Pola-R-GemOx) する治療の有効性を評価した第III相試験である。 対象は自家幹細胞移植不適応患者で、 2ライン目の症例が半数以上 (255例) だった。
試験の結果、 Pola-R-GemOx群では R-GemOx群に比べ全生存期間 (OS) が有意に改善し (中央値19.5ヵ月 vs 12.5ヵ月)、 死亡リスクを約40%低減させた。 ポラツズマブ ベドチン併用のメリットが非常に大きいことが着目される。
一方、 Pola-R-GemOx群では副作用の発現も有意に高かった。 R-GemOxはそこまで治療強度の高い治療ではない一方、 ポラツズマブ ベドチンを追加した際には感染症等に注意を要することが示唆された。
最近、 R-GemOxをバックボーンとした救援療法の開発は進んでおり、 どのレジメンが最終的に優れた治療法として残っていくのかが注目される。
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第Ⅲ相SURPASS-ET試験は、 本態性血小板血症 (ET) を対象にロペグインターフェロンアルファ-2b (ropeg) とアナグレリドを比較評価した第Ⅲ相試験である。 対象はヒドロキシウレア治療に抵抗性または不耐性のET患者174例だった。 主要評価項目は、 修正European LeukemiaNet (ELN) 基準に基づき、 試験開始9ヵ月目および12ヵ月目の両時点で 「持続的な治療反応 (sustained response) 」 を示した患者の割合だった。
ropeg群はアナグレリド群に比べ持続的な治療反応を示した患者の割合が有意に高かった (42.9% vs6.0%)。 さらに、 血栓症発生や疾患進行のリスクもropeg群で著しく低く、 副作用による治療中止も少なかった。 また、 分子応答についてもropeg群では評価可能なレベルで効果が認められ、 既存治療とは大きく異なりETの病態から改善していく可能性が感じられた。
以上から、 ropegはETの2次治療としてアナグレリドに比べて安全かつ効果的と結論付けられた。 本邦でも同治療の承認が期待される。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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