Primary central nervous system lymphomas: EHA-ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up.
Hemasphere. 2024 Jun 4;8(6):e89.
欧州血液学会 (EHA) ・欧州臨床腫瘍学会 (ESMO) による中枢神経系原発悪性リンパ腫 (PCNSL) の診療ガイドラインがHemasphere誌にまとめられていたので紹介する。
初回治療
PCNSLの初回治療¹⁾には高用量メトトレキサート (HD-MTX) を含む併用療法が最も広く用いられているが、 国や施設によって好んで用いられるレジメンは若干異なる。 本邦ではMPV (メトトレキサート、 プロカルバジン、 ビンクリスチン) 療法のような多剤併用療法が多く用いられている。
PCNSLでは、 可能であれば自家造血幹細胞移植 (ASCT) が勧められる。
新たにPCNSLと診断された場合の治療アルゴリズム
【略語】
ASCT : 自家造血幹細胞移植、 CT : 化学療法、 CR : 完全寛解、 HD-AraC : 高用量シタラビン、 HD-MTX : 高用量メトトレキサート、 MATRix : 高用量メトトレキサート+高用量シタラビン+リツキシマブ+チオテパ、 MBVP : メトトレキサート+カルムスチン+テニポシド+メチルプレドニゾロン、 MPV : メトトレキサート+プロカルバジン+ビンクリスチン、 MT : メトトレキサート+テモゾロミド、 MT-R : メトトレキサート+テモゾロミド+リツキシマブ、 PCNSL : 中枢神経系原発悪性リンパ腫、 PD : 病勢進行、 PR : 部分奏効、 PS : パフォーマンスステータス、 R : リツキシマブ、 R-MP : リツキシマブ+メトトレキサート+プロカルバジン、 RT : 放射線療法、 SD : 病勢安定、 WBRT : 全脳放射線療法
【注釈】
a : 薬剤の選択肢については参考文献1) を参照のこと。
b : リツキシマブはこの設定において欧州医薬品庁 (EMA) または米食品医薬品局 (FDA) の承認を受けていない。 導入療法における併用は依然として議論の余地があり、 忍容性と有効性のバランスについて患者およびその介護者と話し合う必要がある。
c : 低線量のWBRT。
※ () 内の情報はエビデンスレベルと推奨度
参考文献1) を基に編集部作成
再発・再燃時
再発・再燃時に関しては定まった治療はないが、 初回治療の効果が長く維持されていたようであれば再度行うということも一つの選択肢である¹⁾。 将来的にはもう少しブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 阻害薬を含む多剤併用療法のようなレジメンの開発が進むことを期待したい。
ここでは記載がほとんどなく、 実際に適応となる症例は限られるが、 若年例では同種移植も検討される。
再発・難治性PCNSLの治療アルゴリズム
【略語】
ASCT : 自家造血幹細胞移植、 BSC : ベストサポーティブケア、 CT : 化学療法、 CR : 完全寛解、 HD-AraC : 高用量シタラビン、 HD-MTX : 高用量メトトレキサート、 PCNSL : 中枢神経系原発悪性リンパ腫、 PD : 病勢進行、 PR : 部分寛解、 RT : 放射線療法、 SD : 病勢安定、 WBRT : 全脳放射線療法
【注釈】
a : 薬剤と用量は年齢、 合併症、 虚弱度によって異なる。
b : EMAまたはFDAにおいて未承認。
c : 70歳未満の健康な患者における地固め療法の選択は、 1次治療で使用された地固め戦略を考慮すべきである。 異なる地固め療法が望ましい (すなわち、 1次治療でASCTを使用した場合はWBRTによるサルベージ療法を、 その逆も同様)。 2回目のASCTは、 選択された患者、 特に1回目の治療で長期寛解が得られた患者には、 選択肢となり得る。
※ () 内の情報はエビデンスレベルと推奨度
参考文献1) を基に編集部作成
出典
- Hemasphere. 2024 Jun 4;8(6):e89.
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