海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前

Vergoteらは、 BRCA1/2変異陰性の進行上皮性卵巣癌患者を対象に、 化学療法にペムブロリズマブを併用し、 維持療法としてペムブロリズマブにPARP阻害薬オラパリブを追加するレジメンの有効性と安全性を、 国際共同二重盲検第III相無作為化比較試験KEYLYNK-001で検討した。 その結果、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群では、 対照群と比べて無増悪生存期間 (PFS) が有意に延長した。 一方、 オラパリブを併用しないペムブロリズマブ群では、 対照群との有意差は認められなかった。 Grade 3以上の治療関連有害事象の発現率は、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群で66%、 対照群で51%であった。 試験結果はLancet Oncol誌に発表された。
本研究の主な限界は、 対照群にPARP阻害薬が含まれていなかったため、 オラパリブ+化学療法に対するペムブロリズマブの上乗せ効果を個別に評価できない点です。
PARP阻害薬オラパリブは、 BRCA変異陽性進行卵巣癌の維持療法で用いられている。
本試験では、 BRCA1/2変異陰性 (野生型) の進行上皮性卵巣癌患者を対象に、 化学療法にペムブロリズマブを併用し、 維持療法でもペムブロリズマブにオラパリブを上乗せする1次治療 (ベバシズマブ併用の有無は問わない) の有効性および安全性を検討した。
KEYLYNK-001試験は、 22ヵ国224施設の婦人科腫瘍センターで実施された。
対象は18歳以上で、 組織学的に確認されたstage III-IVの上皮性卵巣癌、 原発性腹膜癌、 卵管癌のうちBRCA変異陰性患者とした。抗PD-1/PD-L1/PD-L2抗体や他の刺激性・共抑制性T細胞受容体を標的とする薬剤、 PARP阻害薬の前治療歴がなく、 ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group) PS 0-1でRECISTに基づく測定可能病変を有することを要件とした。
導入化学療法1サイクル後、 対象患者は以下の3群に1:1:1で無作為化された (ベバシズマブ併用は担当医判断)。
主要評価項目はPFSで、 PD-L1複合陽性スコア (CPS) ≥10集団で先に検証し、 次にITT (intention-to-treat) 集団を階層的検定**で評価した。 割付はPD-L1 CPS (<10 vs ≥10)、 予定されたベバシズマブ使用、 手術状況で層別化された。
2019年1月30日~2021年8月6日に2,547例が適格性を評価され、 うち1,367例が無作為化された (ITT集団)。 全例が女性で、 年齢中央値は61歳であった。 人種は白人79%、 アジア人17%)、 複数人種2%、 黒人・アフリカ系米国人1%、 米国先住民・アラスカ先住民<1%であった。
第1回中間解析 (2023年1月9日、 追跡期間中央値30.1ヵ月 [IQR 23.9-37.0]) では、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群は対照群に比べPFSが有意に改善した (CPS≥10集団でHR 0.63, 95%CI 0.49-0.80, p<0.0001/ITT集団でHR 0.68, 95%CI 0.58-0.81, p<0.0001)。
最終解析 (2024年8月26日、 追跡期間中央値49.6ヵ月 [IQR 43.4-56.5]) でも、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群のPFS改善は維持された (CPS≥10集団でHR 0.66, 95%CI 0.53-0.83/ITT集団でHR 0.71, 95%CI 0.61-0.84)。
一方、 オラパリブを含まないペムブロリズマブ群と対照群の比較ではCPS≥10集団で有意差が示されず (HR 0.95, 95%CI 0.77-1.19, p=0.33)、 ITT集団におけるPFSの正式な検定は行われなかった。
Grade3以上の治療関連有害事象は、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群452例中297例 (66%)、 ペムブロリズマブ群456例中255例 (56%)、 対照群454例中232例 (51%) に認められた。 最も多かったのは好中球減少症 (102例 [23%]、 78例 [17%]、 89例 [20%])、 貧血 (100例 [22%]、 59例 [13%]、 48例 [11%])、 好中球数減少 (66例 [15%]、 66例 [15%]、 68例 [15%]) であった。
重篤な治療関連有害事象は各群110例 (24%)、 96例 (21%)、 39例 (9%) に報告された。 最も多かったのは発熱性好中球減少症 (19例 [4%]、 16例 [4%]、 9例 [2%]) であった。 治療関連有害事象による死亡は、 ペムブロリズマブ-オラパリブ群で4例 (1% : 脳出血、 硬化性胆管炎、 血球貪食性リンパ組織球症、 大腸炎)、 ペムブロリズマブ群で1例 (<1% : 消化管出血) であった。
著者らは、「化学療法にペムブロリズマブを加え、 ペムブロリズマブ-オラパリブで維持するレジメンは、 化学療法単独と比べてPFSを統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。 新規診断のBRCA変異陰性stage III-IV上皮性卵巣癌で有望となり得る」と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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