海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Hegerらは、 循環腫瘍DNA(ctDNA)のリキッドバイオプシー解析を基に、 ホジキンリンパ腫の生物学的分類と個別化されたリスクの層別化について検討した。 その結果、 ホジキンリンパ腫は3つのサブタイプに分類できること、 また微小残存病変 (MRD) の評価によりサブタイプ内で再発リスクが高い患者の検出が可能となることが明らかとなった。 また、 無増悪生存期間 (PFS) はサブタイプ間で有意な差が認められた。 本研究はJ Clin Oncol誌にて発表された。
方法論の提唱、 確立は次なるステップを導きます。 MRDを評価する、 あるいは評価せずに、 生物学的サブタイプに基づいた治療戦略がホジキンリンパ腫患者の転帰を改善するかどうか、 今後の臨床試験が期待されます。
International Prognostic Score (IPS)
ホジキンリンパ腫は治療が難しい再発性・難治性疾患であり、 治療に伴う長期的な毒性という課題がある。
しかし、 従来の臨床的なリスク因子は十分な識別能力を持たないため、 治療の強度は主に腫瘍量に基づいて決定されている。
ホジキンリンパ腫の遺伝学的特徴および腫瘍微小環境 (TME) を調査することで、 リスク層別化のための新たな知見が得られる可能性が示されている。
German Hodgkin Study Groupの臨床試験に登録されたホジキンリンパ種患者243例を対象に、 ctDNAシーケンスを行った。
サブタイプの独立検証は、 EuroNet-PHL-C2試験で治療を受けた96例を対象に実施した。 サブタイプの転帰の違いは、 HD21試験の72例からなる臨床検証コホートで評価され、 精緻化された検証済みで臨床的に使用可能なアッセイが用いられた。
解析の結果、 3つのサブタイプからなるホジキンリンパ腫の生物学的分類が示された。
①Inflammatory immune escape hodgkin lymphoma
PD-L1遺伝子座の高レベルの増幅などの免疫逃避変異を含む頻繁なコピー数変異と、 炎症性TMEを特徴とする。
②Virally-driven hodgkin lymphoma
エプスタイン・バーウイルス (EBV) およびヒトヘルペスウイルス6 (HHV-6) と関連し、 好中球やマクロファージを含む炎症性TMEが存在する。 一方、 腫瘍変異負荷 (TMB) は低い。
③Oncogene-driven hodgkin lymphoma
高TMBおよびTNFAIP3、 ITPKB、 SOCS1などの癌ドライバー遺伝子の再発性変異、 免疫活動が低い状態にあるTMEが特徴である。
サブタイプ間では、 無増悪生存期間 (PFS) が有意に異なることが確認された。 また、 MRDの評価により、 サブタイプ内で再発リスクが非常に高い患者の特定が可能となった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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