海外ジャーナルクラブ
4日前

Mezzacappaらは、脂肪性肝疾患 (SLD) 患者を対象に、 10年以内の肝硬変および肝細胞癌の発症を予測する臨床リスクスコア9種を約85万例の米国退役軍人のデータを用いたコホート研究で比較した。 その結果、 肝硬変リスクの識別能が最も高いリスクスコアはFIB-4、 APRI、 SAFEであった。 一方、 HCCリスクの識別能についてはSAFE、 Tate、 FIB-4が高かった。 研究結果はJAMA Intern Med誌に発表された。
TateらのリスクスコアはVA (退役軍人) データで開発され、 同じVAコホートで検証されているため、 予測性能が過大評価されている可能性があり、 外部検証が必要です。
脂肪性肝疾患 (SLD) に関する病型分類の日本語名について
脂肪性肝疾患は肝硬変と肝細胞癌の主要な危険因子であるが、 脂肪性肝疾患を有していても大多数は進行した肝疾患には至らない。
脂肪性肝疾患に関連する肝硬変および肝細胞癌については複数のリスクスコアが提案されているものの、 進行肝疾患のサーベイランスに関する意思決定におけるこれらの有用性は明らかになっていない。
対象は、 米国退役軍人保健局 (VA) の全国医療システムのデータに登録され、 2008~20年の腹部画像検査 (超音波・CT・MRI) で脂肪性肝疾患が確認された成人である。 ウイルス性肝炎または原発性肝疾患を有する例、脂肪性肝疾患の確認前あるいは確認後180日以内に肝硬変、 肝代償不全、 肝細胞癌と診断された例は除外された。
PubMedから同定された15種のリスクスコアのうち、 日常診療では得にくい検査項目を要する6種を除いた以下の9種について、 肝脂肪化が初めて画像検査で確認された時点でスコアが算出された。
主要評価項目は肝硬変の初回診断と肝細胞癌の初回診断で、 VAとMedicareの診断コードおよびVA Cancer Registryのデータで同定された。 Cox比例ハザードモデルで10年以内の発症確率を推定し、 C統計量*で識別能を、 意思決定曲線分析 (Decision Curve Analysis; DCA) によるネットベネフィット**で臨床的有用性を評価した。
解析対象は85万3,131例で、 年齢中央値は61歳 (IQR 51-68歳)、 女性が6万2,168例 (7.3%)、 男性が79万963例 (92.7%) であり、 BMI中央値は31.3 (IQR 27.6-35.5)、 糖尿病併存例は275,898例 (32.3%) であった。 追跡期間の中央値は8.5年 (IQR 6.0-11.9年) で、 10年以内に3万3,794例 (3.96%) が肝硬変を、 2,978例 (0.35%) が肝細胞癌を発症した。
10年以内の肝硬変リスクの識別能が最も高かったのはFIB-4、 APRI、 SAFEであった。 一方、 10年以内の肝細胞癌リスクの識別能はSAFE、 Tate、 FIB-4が最も高かった。
意思決定曲線分析で肝硬変リスクの予測において最大のネットベネフィットを示したのはSAFEスコアであった。 SAFEスコア29.5は10年間の肝硬変発症リスク2.5%に相当し、 ネットベネフィットは0.019であった。 これは、 リスクありと分類された100人当たり実際に肝硬変を発症する患者を1.9人多く特定できることに相当した。
肝細胞癌についても最大のネットベネフィットはSAFEスコアで示されたが、10年発症リスクの閾値を0.25%とした場合、 SAFEスコアのネットベネフィットは0.0016であり、 これはリスクありと分類された1,000人当たり1.6人の真陽性を追加で特定できることに相当した。
著者らは、 「9種のスコアを比較した本コホート研究の結果から、 SAFEスコアが脂肪性肝疾患患者における肝硬変の再スクリーニングの必要性を判断する上で有用である可能性が示された。 一方、肝細胞癌については、 肝硬変のない脂肪性肝疾患患者におけるスクリーニングの必要性を判断する上で、 臨床リスクスコアの有用性は限定的であった」 と結論付けている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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