海外ジャーナルクラブ
1年前
Holmbergらは、 非びらん性胃食道逆流症 (non-erosive reflux disease:NERD) 患者の食道腺癌発症率について集団ベースのコホート研究で検討した。 その結果、 NERD患者において食道腺癌の発生率は一般集団と同程度であり、 内視鏡的に確認されたNERDでは、 食道腺癌に対する追加の内視鏡的なモニタリングは必要ないことが示唆された。 本研究はBMJ誌において発表された。
内視鏡的に確認されたNERDでは、 食道腺癌に対する追加の内視鏡モニタリングは必要ないという結論自体は大変意義深いです。 しかしながら、 プラクティスとしての内視鏡がそれ以外の多くの情報をもたらすため、 研究結果の臨床応用が難しいです。
1987年1月1日~2019年12月31日にデンマーク、 フィンランド、 スウェーデンの病院および専門外来を受診し、 GERDと診断された患者で、 少なくとも1回以上の内視鏡検査を受けた成人:48万6,556例
初回内視鏡検査による診断基準適用
食道腺癌の罹患率
28万5,811人中228人が食道腺癌を発症し、 食道腺癌の全罹患率は11.0/10万人年であった。
食道腺癌の標準化罹患比は1.04 (95%CI 0.91-1.18) で、 罹患率は一般集団と同程度であり、 最長31年の追跡期間中も増加傾向を示さなかった。
175万249人年の追跡期間において、 20万745例中542例が食道腺癌を発症した。
食道腺癌の全罹患率は31.0/10万人年、 食道腺癌の標準化罹患比は2.36 (2.17-2.57) で、 追跡期間が長くなるほど増加した。
NERD患者の食道腺癌発生率は一般集団と同程度であった。 内視鏡的に確認されたNERDでは、 食道腺癌に対する追加の内視鏡モニタリングは必要ないことが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。