寄稿ライター
12日前
高収入である医師は、 さまざまな投資に勧誘されることも多いです。 連載 「医師による医師のための財テク術」 の16回目では、 前回に引き続き、 医師が勧誘される代表格 「ワンルーム (1R) マンション投資」 の闇について考察します。
前回の記事はコチラ。
銀行は1Rマンションの資産価値を認めてくれないため、 ノンバンクや決済機能を持たない金融機関が受け皿となっています。 彼らは銀行が手出ししない領域を担当することで、 より高い金利を引き出すことができるのです。
特に新築1Rマンションを販売する場合は、 あらかじめノンバンクからの融資とセットで商品が作られます。 悪く言えば、 1R販売業者とノンバンクがグルになって商品を売りつけているのです。
通常、 買主の属性や資産背景によって金利などの融資条件は変わってきますが、 1Rマンションの場合は年収500万円以上なら条件は同じです。 「先生の属性ならこの金利で今なら購入できます!」 「本当の販売価格は〇万円ですが、 先生でしたらお値引きして△万円にできます」 などと営業担当者は射幸心を煽ってきますが、 単なる営業トークですので気を付けましょう。
皆さんは 「団体信用生命保険 (団信) 」 をご存じでしょうか?住宅ローン加入者が死亡あるいは高度障害になった際、 保険金によって住宅ローンの返済ができるものです。 がん保険の機能がついた団信もあります。
金融機関や団信の補償内容にもよりますが、 おおむね0.3%程度の上乗せ金利を支払う必要があります。 「生命保険の代わりになります!」 と勧められるわけですが、 果たして本当に必要なのでしょうか?
確かに、 マイホームを買う際は団信があれば安心です。 自分の給料からローンを返済していく形になるので、 自分が倒れてしまうと返済が滞るリスクがあるからです。 しかし、 投資用不動産の場合、 支払い原資は賃料です。 むしろ、 自分が倒れて支払いが滞るようなキャッシュフローがマイナスの不動産投資など、 はじめからやってはいけません。
一方、 団信の上乗せ金利により月々のキャッシュフローは悪くなります。 自分が亡くなって相続となった際、 負債が残っていれば資産と相殺して相続税評価額を下げることができますが、 ローンの負債がない場合には相続税が高くなる可能性があります。
個人的には団信は不動産投資には必ずしも必要ではないと考えております。 もちろん、 現金や証券などの流動性資産がどれだけあるかや、 家族の考え方など、 様々な要素によって正解が異なりますから、 参考程度にして頂ければと存じます。
金融機関は無制限に融資をしてくれるわけではありません。 個人の保有資産や属性などから各金融機関が独自に 「与信枠」 を計算しており、 リスクが少ない場合は融資を稟議にかけるとされています。
しかし、 冒頭に述べたように、 1Rマンションは大手銀行は資産価値を認めてくれないため、 「負債を多く抱えている状態」 と評価される可能性があります。 その結果、 あとでより良い物件を見つけたとしても、 銀行が融資してくれず、 高い金利を払ってノンバンクに頼るしかなくなるなど、 今後の不動産投資の足枷になる可能性があります。
ローン額が大きいと、 住宅ローンを借りる際にも影響をきたす可能性すらあります。 こうした点からも、 1Rマンション投資は手を出さない方がいいと私は考えております。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回はサブリースの罠について考えていきたいと思います。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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