海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
新潟県立がんセンター新潟病院消化器外科の番場竹生氏らの研究グループは、 cT1bN0M0・I期食道扁平上皮癌の術後の再発頻度、 特徴、 予測因子を検討した。 その結果、 術後再発率は14.8%で、 領域リンパ節のほか、 少数ながら非領域リンパ節や遠隔臓器にも再発が認められた。 研究結果はAnn Surg Oncol誌に発表された。
この論文は極めて意義深い疫学研究です。 今後の被引用数が、掲載誌のインパクトファクター以上にこの研究の学術的価値を示す指標として注目されるべきです。
cT1bN0M0・I期食道扁平上皮癌での術後の再発は少なくない。 しかし、 再発に関する詳細な知見や、術後経過観察の最適化に向けたデータは十分に蓄積されていない。
前向き多施設共同研究JCOG0502において、 cT1bN0M0・I期食道扁平上皮癌に対して手術と術後CTフォローアップを受けた210例を解析対象とし、 術後の再発頻度、 特徴および予測因子を評価した。
術後再発の特徴は、 再発部位、 領域・非領域リンパ節の関与、 単一・多臓器の関与の有無に基づき分類した。
術後再発率は14.8%であり、 主な再発部位は領域リンパ節であった。
初回から再発が複数臓器に及んでいた症例は4例だった。 登録から初回再発までの期間中央値は18.6ヵ月だった。
術後再発の関連因子は、 病理学的リンパ節転移 (HR 3.29、 p=0.003)、 腫瘍が胸部上部食道に位置すること (下部食道に対してHR=6.71、 p=0.013) および2領域郭清 (HR=4.31、 p=0.001) であった。
著者らは 「対象患者の術後再発は主にリンパ節に生じているが、 非領域リンパ節や遠隔臓器への再発も認められていることから、術後の経過観察では全身の評価が重要と示唆される」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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