海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Laneらは、 小児敗血症患者を対象に、 死亡リスク増加に関連する抗菌薬投与のタイミングについて、 後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 抗菌薬投与のタイミングが救急外来到着から330分以後に遅延すると死亡リスクは増加することが示された。 本研究はJAMA Netw Openにて発表された。
確かに330分を超えると死亡率が増加しているのですが、 N数がかなり少ないためバラツキが大きく、 結論に至るのが難しいです。 また、 重症度が調整されていないこともlimitationとなります。
小児科のコンセンサスガイドラインでは、 敗血症性ショックに対しては1時間以内、 ショックを伴わない敗血症に対しては3時間以内の抗菌薬投与が推奨されているが、 転帰悪化に関連する遅延時間を特定する研究は限られている。
そこで本研究では、 小児敗血症患者を対象として、 死亡リスク増加に関連する抗菌薬投与時点を特定することを目的とした。
米国の51施設のデータを使用した後ろ向きコホート研究。 救急外来到着の1時間以内に確認された敗血症を有する日齢29日~18歳未満の患者を対象とした。
曝露を救急外来から抗菌薬投与までの時間とし、 主要評価項目を 「敗血症に起因する3日死亡率」、 副次評価項目を 「敗血症に起因する30日死亡率」 とした。
対象は1万9,515例で、 年齢中央値は6歳 (IQR 2-12歳) であった。 抗菌薬投与までの時間の中央値は69分 (IQR 47-116分) であった。
敗血症に起因する3日死亡率が増加する、 抗菌薬投与までの時間は330分と推計された。
敗血症に起因する3日死亡率
調整オッズ比 : 3.44 (95%CI 1.20-9.93)
p=0.02
敗血症に起因する30日死亡率
調整オッズ比 : 3.63 (95%CI 1.59-8.30)
p=0.002
著者らは 「敗血症の小児患者で構成されるこのコホートでは、 抗菌薬投与が救急外来到着から330分以後へと遅延することで、 3日および30日の敗血症起因死亡率が増加した。 この知見は、 小児の敗血症死亡率の上昇が抗菌薬投与遅延と関連していることを示した報告と一致している。 適切な資源配分と、 適正な診断的評価のための時間とのバランスをとるためには、 より早期の抗菌薬投与によってベネフィットを得られる可能性がある患者集団 (ショックや菌血症の患者など) が存在するかどうかについての、 さらなる研究が必要である」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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