【NEJM】BsAbのタルケタマブは再発・難治性多発性骨髄腫の治療に有望
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】BsAbのタルケタマブは再発・難治性多発性骨髄腫の治療に有望

【NEJM】BsAbのタルケタマブは再発・難治性多発性骨髄腫の治療に有望
Chariらは、 治療歴の多い再発・難治性多発性骨髄腫 (MM) 患者を対象に、 タルケタマブの安全性と有効性を第1相試験で検討。 その結果、 タルケタマブは低悪性度のサイトカイン放出症候群、 皮膚関連事象、 味覚障害が確認されたものの、 治療歴の多い再発・難治性MM患者において、 実質的な奏効をもたらした。 本研究は、 NEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Talquetamab, a T-Cell-Redirecting GPRC5D Bispecific Antibody for Multiple Myeloma. N Engl J Med. 2022 Dec 15;387(24):2232-2244.PMID: 36507686

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

濃厚な前治療歴を有する患者群において奏効を示したというのは、 素晴らしい結果です。 第一相試験でNEJMということはヒトでの安全性が証明されれば十分という下地があると言えます。

🔢関連コンテンツ

SLiM-CRAB (多発性骨髄腫の診断基準)

ISS (多発性骨髄腫の国際病期分類)

R-ISS (多発性骨髄腫の改訂国際病期分類)


背景

CD3とGPRC5Dに対する二重特異性抗体であるタルクエタマブは、 悪性形質細胞で発現するオーファン受容体の一つ 「GPRC5D」 を発現した骨髄腫細胞の破壊に関与する。

研究デザイン

対象

既存の治療法後(中央値で6ライン) または副作用でその治療が継続できない再発・難治性MM患者。

介入

タルクエタマブを毎週または隔週 (体重1kgあたり0.5~180μg) 静脈内投与、 または毎週、 隔週、 毎月 (1kgあたり5~1600μg) 皮下投与。

主要評価項目

用量制限毒性作用 (試験パート1のみ) の頻度と種類、 有害事象および臨床検査値異常を評価し、 第Ⅱ相試験の推奨用量を選択した。

結果結果

データ終了時点で、 232名の患者さんにタルケタマブが投与された。

静脈内投与:102名、 皮下投与:130名

有効性評価

追跡期間中央値11.7カ月 (405μg投与群の患者) および4.2カ月 (800μg投与群の患者) において、 奏効した患者の割合はそれぞれ70% (95%CI 51-85) および64% (95%CI 48-78) であった。 奏効期間中央値は、 それぞれ10.2ヵ月と7.8ヵ月であった。

安全性評価

第Ⅱ相試験で推奨された2種類の皮下投与量 (1kgあたり405μgを毎週投与:30例、 1kgあたり800μgを隔週投与:44例) の一般的な有害事象

サイトカイン放出症候群

  • 405μgを毎週投与:77%
  • 800μgを隔週投与:80%

皮膚関連事象

  • 405μgを毎週投与:67%
  • 800μgを隔週投与:70%

味覚異常

  • 405μgを毎週投与:63%
  • 800μgを隔週投与:57%

サイトカイン放出症候群1事象以外のすべてがグレード1または2であった。 800μg群では、 グレード3の発疹という用量制限毒性が1件報告された。

結論

サイトカイン放出症候群、 皮膚関連事象、 味覚障害は、 タルケタマブでよく見られたが、 主に低悪性度であった。 タルケタマブは、 前治療歴の長い再発・難治性多発性骨髄腫患者において、 実質的な奏効をもたらした。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【NEJM】BsAbのタルケタマブは再発・難治性多発性骨髄腫の治療に有望