海外ジャーナルクラブ
1年前
Leeらはエストロゲン受容体陽性/HER2陰性 (ER+/HER2-) 乳癌患者を対象に、 21遺伝子再発スコア(RS)とKi-67の関連、 およびKi-67と無再発生存期間(RFS)の関連をコホート研究で検討。 その結果、 Ki-67とRSには中等度の相関が観察され、 RSが低くKi-67高発現の患者はsecondary endocrine resistanceのリスク増加と関連していた。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
中等度の相関ということですが、 R=0.455ということで相関としてはかなり弱い相関に近いと言えるでしょう。
乳腺腫瘍のTNM分類 (UICC-8版)
ER+/HER2-乳がん患者において、 21遺伝子RS高値とKi-67の高値はともに予後不良因子とみなされる。 しかし、 この2つの間には乖離があることが指摘されている。 これらのバイオマーカーの生存率の差については完全には理解されていない。
2010年3月~2020年12月に韓国の2つの病院で21遺伝子RS検査を受け、 ER+/HER2-乳癌治療を受けた女性
2,295例が対象となり、 84.9% (1948例) が低リスク、 62.1% (1425例) がKi-67低発現であった。
RSとKi-67は中等度の相関を示した (R=0.455、 P<0.001)。
Ki-67値発現群のうち94.1% (1341例) は低リスクだったが、 Ki-67高発現群においては69.8% (870例中607例) が低リスクであった。
低リスク群のRFSは、 Ki-67によって有意に異なっていた。
P=0.002
化学療法を受けなかった低リスク患者1,807例のうち、 Ki-67高値が独立して再発と関連していた。
HR 2.51、 95%CI 1.27-4.96、 P=0.008
3年以降の再発率はKi-67によって有意に異なった。
P=0.003
3年以内の再発率は変わらなかった。
P=0.90
Ki-67は、 化学療法を受けなかった低リスク患者におけるsecondary endocrine resistanceと関連していた。
OR 2.49、 95%CI 1.13-5.50、 P=0.02
ER+/HER2-乳癌患者を対象としたこのコホート研究では、 Ki-67とRSの間に中等度の相関が観察された。 低リスクの患者においてKi-67の高発現は、 secondary endocrine resistanceのリスク増加と関連していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。