海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Zhangらは、 D2胃切除術を受けた局所進行胃癌または胃食道接合部腺癌の患者を対象に、 周術期または術後補助療法として用いるS-1+オキサリプラチン療法 (SOX) の有効性と安全性を標準治療の術後補助療法カペシタビン+オキサリプラチン療法 (CAPOX) と比較することを目的に、 無作為化非盲検第III相試験RESOLVEを実施した。 その結果、 周術期または術後のSOX療法がCAPOX療法よりも全生存期間 (OS) を有意に延長することが明らかとなった。 試験結果はLancet Oncology誌に発表された。
Lancet Oncol. 2025年2月11日オンライン版. PMID: 39952264.
Lancet特有のInterpretationには "in Asian patients"と限定した記載がありますが、 本文のconclusionにはその記載はないのが面白いところです。
局所進行胃癌に対する周術期治療の最適なアプローチは未確立であり、 術後補助療法との比較データが不足している。 この試験では、 D2郭清術を受けた局所進行胃癌患者を対象に、 SOXによる周術期療法 (術前+術後) と、 SOXまたはCAPOXによる術後補助療法の有効性を比較した。
D2胃切除が可能なcT4a N+ M0またはcT4b Nany M0の胃癌または胃食道接合部腺癌の中国人患者1,094例を以下の3群に無作為に割り付けた。
主要評価項目は3年無病生存率 (DFS) とし、 SOX療法がCAPOX療法に対して優越性 (周術期SOX群) または非劣性 (術後SOX群) を示すかどうかを検討した。 副次評価項目として5年OSを評価し、 この最終解析の主要解析対象とした。
追跡期間中央値62.8ヵ月で、 5年OSはCAPOX群が52.1% (95%CI 46.3-57.5%)であったのに対し、 術後SOX群が61.0% (同55.3-66.2%)、 周術期がSOX群60.0% (同54.2-65.3%) だった。
また、 周術期SOX群は術後CAPOX群と比較してOSの有意な改善を示し (HR 0.79 [95%CI 0.62-1.00]、 p=0.049)、 術後SOX群も術後CAPOX群と比較してOSが有意に改善した (HR 0.77 [95%CI 0.61-0.98]、 p=0.033)。
著者らは、 「周術期または術後SOX療法は、 アジア人の局所進行胃癌または胃食道接合部癌に対する新たな標準的治療の選択肢にる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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