【Lancet】低分子ヘパリンで出生率改善せず:複数流産歴を有する遺伝性血栓症の女性
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet】低分子ヘパリンで出生率改善せず:複数流産歴を有する遺伝性血栓症の女性

【Lancet】低分子ヘパリンで出生率改善せず:複数流産歴を有する遺伝性血栓症の女性
Quenbyらは、 2回以上の流産歴を有し、 遺伝性血栓症と診断された女性を対象に、 低分子ヘパリン (LMWH) の投与が妊娠転帰におよぼす影響を国際非盲検ランダム化比較試験ALIFE2で検討。 その結果、 LMWHは生着率の上昇をもたらさなかった。 本研究はLancet誌において発表された。 

📘原著論文

Heparin for women with recurrent miscarriage and inherited thrombophilia (ALIFE2): an international open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2023 Jun 1;S0140-6736(23)00693-1. PMID: 37271152

👨‍⚕️監修医師のコメント

8年以上の経過を要した研究です。 Lancet誌側からはwe suggest that this is the definitive trial on this topic.とのコメントが出されて、 研究者に抗凝固療法以外の治療法にfocusするように求めています。

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特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)の診断基準・重症度分類


背景

抗凝固療法は、 不育症と遺伝性血栓症を有する女性における流産回数と有害な妊娠転帰を減らす可能性がある。

研究デザイン

対象

2回以上の流産を経験し、 遺伝性血栓症が確認され、 妊娠を希望、 または既に妊娠している18~42歳の女性

介入

患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け

  • LMWH群:164例
  • 標準治療群:162例 (LMWH未使用)
両群とも標準治療と並行
LMWHは妊娠7週以前から開始され、 妊娠終了まで継続

主要評価項目

生児出産率

安全性評価項目

出血、 血小板減少、 皮膚反応など

研究結果

主要評価項目

LMWH群の72% (162例中116例)、 標準治療群の71% (158例中112例) が生着した。

aOR 1.08 (95%CI 0.65-1.78)
絶対リスク差 0.7% (95%CI -9.2-10-6%)

安全性評価

LMWH群の24% (164例中39例)、 標準治療群の23% (162例中37例) において有害事象が報告された。

結果の解釈

2回以上の流産を経験し、 遺伝性血栓症が確認された女性において、 LMWHは標準治療に比して生着率の上昇をもたらさなかった。 我々は、 不育症と遺伝性血栓症を有する女性にLMWHの使用を勧めず、 また、 不育症を有する女性に遺伝性血栓症のスクリーニングを行わないことを推奨する。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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