海外ジャーナルクラブ
2年前
Changらは、アジアの乳癌患者を対象に、スタチン使用とがんおよび非がん関連生存率との関連性をコホート研究で検討。その結果、スタチン使用は、心血管死ではなく、がん関連死のリスク低減と関連していた。本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
本研究結果は仮説の提唱にとどめる必要があります。本文の結論の最後にMore investigations, especially randomized clinical trials, are necessary to support our findings.と書かれています。結果とその解釈がアカデミアにおいて極めて重要であることを示しています。
スタチンは、心血管系に対する保護作用に加え、抗炎症作用の可能性から乳癌の再発リスクを低減する可能性がある。アジアの乳がん患者は診断時の年齢が比較的若く、そのほとんどが従来の心血管危険因子を持たないことから、スタチンの使用により生存率が向上するかどうかは不明である。
2012年1月〜17年12月に台湾で乳癌と診断された患者。
乳癌の診断前6カ月以内にスタチンを使用した患者と非使用者を比較。
死亡(全死因、がん、心血管疾患、その他)。
非使用者と比較して、スタチン使用者は全死亡のリスクが有意に低かった。
死亡リスクの低減は主に癌関連死に起因していた。
心血管系の原因で死亡した患者はごく少数であり、その比率はスタチン使用者と非使用者の間で同様であった。
心不全、動脈・静脈イベントなどの心血管アウトカムについては、スタチン使用者と非使用者の間に有意差は認められなかった。
時間依存性解析においても、スタチン使用者は非使用者に比べてがん関連死のリスクが有意に低かった。
HDS使用者は非使用者と比べ、さらにリスクが低かった。
アジア人の乳がん患者を対象とした本コホート研究において、スタチン使用は、心血管死ではなく、がん関連死のリスク低減と関連していた。今回の知見は,乳癌患者におけるスタチン使用を支持するエビデンスを提供するものであるが,さらなるランダム化比較試験が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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