【JAMA Netw Open】スタチン使用でがん関連死のリスクが低減:アジアの乳がん患者
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA Netw Open】スタチン使用でがん関連死のリスクが低減:アジアの乳がん患者

【JAMA Netw Open】スタチン使用でがん関連死のリスクが低減:アジアの乳がん患者
Changらは、アジアの乳癌患者を対象に、スタチン使用とがんおよび非がん関連生存率との関連性をコホート研究で検討。その結果、スタチン使用は、心血管死ではなく、がん関連死のリスク低減と関連していた。本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。

📘原著論文

Association of Statin Use With Cancer- and Noncancer-Associated Survival Among Patients With Breast Cancer in Asia. JAMA Netw Open. 2023 Apr 3;6(4):e239515. PMID: 37083661

👨‍⚕️監修医師のコメント

本研究結果は仮説の提唱にとどめる必要があります。本文の結論の最後にMore investigations, especially randomized clinical trials, are necessary to support our findings.と書かれています。結果とその解釈がアカデミアにおいて極めて重要であることを示しています。

🔢関連コンテンツ

乳癌のTNM臨床病期分類

乳腺腫瘍のTNM分類 (UICC-8版)

背景

スタチンは、心血管系に対する保護作用に加え、抗炎症作用の可能性から乳癌の再発リスクを低減する可能性がある。アジアの乳がん患者は診断時の年齢が比較的若く、そのほとんどが従来の心血管危険因子を持たないことから、スタチンの使用により生存率が向上するかどうかは不明である。

研究デザイン

対象

2012年1月〜17年12月に台湾で乳癌と診断された患者。

台湾の国民健康保険研究データベースと国立がん登録を使用して特定

介入

乳癌の診断前6カ月以内にスタチンを使用した患者と非使用者を比較。

  • スタチン投与患者:7,451例
  • 非投与患者:7,451例

主要評価項目

死亡(全死因、がん、心血管疾患、その他)。

研究結果

死亡リスク

非使用者と比較して、スタチン使用者は全死亡のリスクが有意に低かった。

aHR 0.83、95%CI 0.77-0.91、P<0.001

癌関連死

死亡リスクの低減は主に癌関連死に起因していた。

aHR 0.83、95%CI 0.75-0.92、P<0.001

心血管疾患による死亡

心血管系の原因で死亡した患者はごく少数であり、その比率はスタチン使用者と非使用者の間で同様であった。

心血管アウトカム

心不全、動脈・静脈イベントなどの心血管アウトカムについては、スタチン使用者と非使用者の間に有意差は認められなかった。

時間依存性解析

時間依存性解析においても、スタチン使用者は非使用者に比べてがん関連死のリスクが有意に低かった。

aHR 0.28、95%CI 0.24-0.32、P<0.001

高用量スタチン(HDS)との関係

HDS使用者は非使用者と比べ、さらにリスクが低かった。

  • HDS使用者:調整後HR 0.84
95%CI 0.73-0.98、P=0.002
  • 非HDS使用者:調整後HR 0.79
95%CI 0.68-0.91、P =0.001

結論

アジア人の乳がん患者を対象とした本コホート研究において、スタチン使用は、心血管死ではなく、がん関連死のリスク低減と関連していた。今回の知見は,乳癌患者におけるスタチン使用を支持するエビデンスを提供するものであるが,さらなるランダム化比較試験が必要である。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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