海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前

Johnsonらは、 筋強直性ジストロフィー1型の患者を対象に、 抗体オリゴヌクレオチド複合体delpacibart etedesiran (del-desiran) の安全性、 薬物動態、 薬力学的プロファイル、 および下流の異常スプライシングパターンの変化を海外多施設共同第Ⅰ/Ⅱ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験MARINAで検討した。 その結果、 del-desiranは許容可能な安全性プロファイルを示し、 筋組織への送達を裏付けるDMPK mRNA低下およびスプライシング異常改善を示唆する薬力学的変化が認められた。 本研究はNEJM誌において発表された。
DMPK mRNA量やスプライシング異常の変動は、 生検を体の左右で交互に採取したことが一因と考えられるとの記載があります。
筋強直性ジストロフィー1型は、 稀な優性遺伝性の進行性かつ障害性の神経筋疾患であり、 平均余命を短縮させるが、 承認された治療法は存在しない。
本疾患は、 筋強直性ジストロフィー1型蛋白質キナーゼをコードするDMPK遺伝子におけるトリヌクレオチド反復配列の伸長によって引き起こされる。 これにより転写されたmRNA (DMPK mRNA) に毒性を有する機能獲得が生じ、 オルタナティブスプライシング異常 (ミススプライシング) を引き起こす。
del-desiranはモノクローナル抗体オリゴヌクレオチド複合体であり、 抗体部分はトランスフェリン受容体1、 オリゴヌクレオチド部分はDMPK mRNAを標的とする。
第Ⅰ/Ⅱ相無作為化比較試験MARINAにおいて、 筋強直性ジストロフィー1型患者38例が以下の4群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は安全性、 副次評価項目はdel-desiranの薬物動態、 薬力学的プロファイル、 および下流の異常スプライシングパターンの変化であった (1mg群では43日目、 2mgおよび4mg群では92日目 [2回目投与後49日目] に評価)。
del-desiranを点滴投与された38例のうち35例に軽度または中等度の有害事象 (AE) が認められた。 重篤なAEが2mg群および4mg群の2例に発現し、 そのうち1例は試験参加を中止した。
筋生検検体におけるDMPK mRNAレベルの変化率は、 1mg群で-46%、 2mg群で-44%、 4mg群で-37%、 プラセボ群で0.9%であった。
低分子干渉RNA (siRNA) の血漿中最大濃度および曲線下面積は用量増加に比例して上昇し、 少量のsiRNAが尿中から回収された。
ベースラインからの平均複合ミススプライシングスコアの減少率は、 1mg群が3%、 2mg群が17%、 4mg群が16%、 プラセボ群7%であり、 2mg群および4mg群においてミススプライシング改善を示唆する変化が認められた。
著者らは 「本研究の結果は、 del-desiranの筋組織への送達と、 筋強直性ジストロフィー1型患者の一部における異常なオルタナティブスプライシングの改善を示唆する所見であった。 一方で重篤なAEが2例に認められた。 これらのデータはさらなる臨床研究を支持するものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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