海外ジャーナルクラブ
9日前
Heらは、 手術可能なトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象に、 多遺伝子シグネチャーを活用したリスク層別化に基づく術後療法の有効性について、 第Ⅲ相多施設共同無作為化比較試験で検討した。 その結果、 高リスク例に対してはアントラサイクリン/タキサンベースの化学療法にゲムシタビン+シスプラチンを組み合わせた強化レジメンにより、 無病生存期間 (DFS) の有意な改善が示された。 本研究はBMJにて発表された。
登録完了後に主要評価項目が修正された点が、 最大のlimitationとして挙げられます。
本研究では、 手術可能TNBCに対する術後補助化学療法において、 個別化を実現するための多遺伝子シグネチャーの可能性を評価することを目的とした。
根治手術を受けた18~70歳の早期TNBC504例を対象に、 統合されたmRNA-lncRNAシグネチャーを用いてリスク層別化を行い、 リスク別に以下の3群に1 : 1 : 1で割り付けた。
高リスク集団
低リスク集団
主要評価項目はA群 vs B群のDFSだった。 副次評価項目にはC群 vs B群のDFS、 無再発生存率(RFS)、 全生存期間 (OS)、 安全性が設定された。
A群 vs B群の結果を以下に示す。 3年DFS率と3年RFS率は、 標準治療を行ったB群と比較してA群で有意に改善した。 3年OS率は有意差が見られなかった。
3年DFS率
3年RFS率
3年OS率
C群 vs B群の結果を以下に示す。 いずれもC群で有意に改善した。
3年DFS率
3年DFS率
3年OS率
Grade3~4の治療関連有害事象発現率は以下の通りだった。 なお、 いずれの群においても治療関連死は発生しなかった。
著者らは 「多遺伝子シグネチャーに基づくリスク層別化は、 手術可能なTNBCの最適な個別術後補助療法を調整できる可能性を示した。 ゲムシタビン+シスプラチンを含む集中補助療法は、 標準治療に比べDFSを有意に改善し、 毒性も管理可能であった」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。