【BMJ】高リスク早期TNBC、強化レジメンでDFS改善:多遺伝子解析で個別化
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海外ジャーナルクラブ

9日前

【BMJ】高リスク早期TNBC、強化レジメンでDFS改善:多遺伝子解析で個別化

【BMJ】高リスク早期TNBC、強化レジメンでDFS改善:多遺伝子解析で個別化
Heらは、 手術可能なトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象に、 多遺伝子シグネチャーを活用したリスク層別化に基づく術後療法の有効性について、 第Ⅲ相多施設共同無作為化比較試験で検討した。 その結果、 高リスク例に対してはアントラサイクリン/タキサンベースの化学療法にゲムシタビン+シスプラチンを組み合わせた強化レジメンにより、 無病生存期間 (DFS) の有意な改善が示された。 本研究はBMJにて発表された。 

📘原著論文

Intensive chemotherapy versus standard chemotherapy among patients with high risk, operable, triple negative breast cancer based on integrated mRNA-lncRNA signature (BCTOP-T-A01): randomised, multicentre, phase 3 trial. BMJ. 2024 Oct 23;387:e079603. PMID: 39442958.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

登録完了後に主要評価項目が修正された点が、 最大のlimitationとして挙げられます。

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全55コンテンツ (2024/11/21更新)

目的

術後TNBCへの補助化学療法の最適化を検証

本研究では、 手術可能TNBCに対する術後補助化学療法において、 個別化を実現するための多遺伝子シグネチャーの可能性を評価することを目的とした。

研究デザイン

高リスク例を集中補助療法群と標準治療群で比較

根治手術を受けた18~70歳の早期TNBC504例を対象に、 統合されたmRNA-lncRNAシグネチャーを用いてリスク層別化を行い、 リスク別に以下の3群に1 : 1 : 1で割り付けた。

高リスク集団

  • 集中補助療法群 (A群) : 166例
ドセタキセル+エピルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクル実施後、 ゲムシタビン+シスプラチンの集中化学補助療法を4サイクル実施
  • 標準治療群 (B群) : 170例
エピルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクル実施後、 ドセタキセルを4サイクル投与

低リスク集団

  • 標準治療群 (C群) : 168例
B群と同じ治療レジメンを実施

主要評価項目はA群 vs B群のDFS

主要評価項目はA群 vs B群のDFSだった。 副次評価項目にはC群 vs B群のDFS、 無再発生存率(RFS)、 全生存期間 (OS)、 安全性が設定された。

結果

強化レジメン群の3年DFS率は90%超

A群 vs B群の結果を以下に示す。 3年DFS率と3年RFS率は、 標準治療を行ったB群と比較してA群で有意に改善した。 3年OS率は有意差が見られなかった。

HR : ハザード比

3年DFS率

  • 90.9% vs 80.6%
  • HR 0.51 (95%CI 0.28-0.95)、 p=0.03

3年RFS率

  • 92.6% vs 83.2%
  • HR 0.50 (95%CI 0.25-0.98)、 p=0.04

3年OS率

  • 98.2% vs 91.3%
  • HR 0.58 (95%CI 0.22-1.54)、 p=0.27

同レジメンでは低リスク集団でより改善

C群 vs B群の結果を以下に示す。 いずれもC群で有意に改善した。

3年DFS率

  • 90.1% vs 80.6%
  • HR 0.57 (95%CI 0.33-0.98)、 p=0.04

3年DFS率

  • 94.5% vs 83.2%
  • HR 0.42 (95%CI 0.22-0.81)、 p=0.007

3年OS率

  • 100% vs 91.3%
  • HR 0.14 (95%CI 0.03-0.61)、 p=0.002

安全性は管理可能、 治療関連死発生せず

Grade3~4の治療関連有害事象発現率は以下の通りだった。 なお、 いずれの群においても治療関連死は発生しなかった。

  • A群 : 64% (105/163例)
  • B群 : 51% (86/169例)
  • C群 : 54% (90/166例)

結論

多遺伝子シグネチャーの活用は、 患者の予後改善に寄与する可能性

著者らは 「多遺伝子シグネチャーに基づくリスク層別化は、 手術可能なTNBCの最適な個別術後補助療法を調整できる可能性を示した。 ゲムシタビン+シスプラチンを含む集中補助療法は、 標準治療に比べDFSを有意に改善し、 毒性も管理可能であった」 と報告した。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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