海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Kaiserらは、 新規診断多発性骨髄腫 (MM) および再発・難治性MM患者を対象に、 高リスク細胞遺伝学的異常 (HRCA) の併発と予後との関連性をシステマティックレビューおよびメタ解析で評価した。 その結果、 HRCAが複数ある患者は、 どの治療法でも転帰不良であることが明らかとなった。 研究結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
今回のようなダブルヒットはPFSおよびOSに対する予後因子である可能性が高い一方で、 シングルヒットの影響は不明です。
多発性骨髄腫 (MM) の生存率は近年著しく改善しているものの、 患者により予後はさまざまであり、 高リスクMM患者を一貫して識別することが望まれている。
そこでこの研究では、 高リスク細胞遺伝学的異常 (HRCA) の併発と予後との関連性をシステマティックレビューおよびメタ解析で評価した。
2000年1月1日-21年12月9日にHRCAの検査を報告したMMの無作為化比較試験のシステマティックレビューを実施した。 無作為化試験24件、 患者計1万3,926例を抽出し、 HRCAが1つの患者とHRCAが2つ以上ある患者の無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) のHRをランダム効果メタ解析で評価した。
PFSのHRは、 HRCAが2つ以上ある患者が2.28 (95%CI 2.05-2.54)、 HRCAが1つの患者が1.51 (95%CI 1.38-1.65) であった。
OSのHRは、 それぞれ2.94 (95%CI 2.49-3.47) および1.69 (95%CI 1.52-1.88) であった。
複数のHRCAが予後に及ぼす影響は、 2015年以降に開始した最新の併用療法の研究でも持続しいた (PFSのHR 2.39 [95%CI 1.96-2.91]、 OSのHR 3.10 [95%CI 2.10-4.60])。
移植適格性および再発・難治性の状態に関する不均一性は予想通りであった。
著者らは 「新規診断MMおよび再発・難治性MMでは、 2つ以上のHRCAがあると最も転帰が不良であることが初めて示された。 今後は、 アンメットニーズの高いこのような患者に対する新たな治療アプローチの開発に集中して取り組むことが可能になる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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