海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Poseらは、 慢性肝不全の急性増悪 (ACLF) を伴う非代償性肝硬変の転帰に対するシンバスタチン+リファキシミン併用療法の有効性を第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 本併用療法はACLFを伴う肝硬変の重度合併症、 移植または死亡のリスク低減に寄与しないことが明らかとなった。 本研究はJAMA誌にて発表された。
本研究対象患者である肝硬変の原因は7~8割がアルコールとなっています。 現状ではアルコール関連疾患の予防も、 世界的にあまりうまくいっていません。
肝硬変の重度合併症を予防する有効な治療法は確立していない。 一方、 シンバスタチンおよびリファキシミンは、 肝硬変に有用であることが知られている*。
そこで、 シンバスタチン+リファキシミン併用療法が、 非代償性肝硬変の転帰を改善するか否かを第Ⅲ相プラセボ対照試験で評価した。
欧州の病院14施設における非代償性肝硬変患者237例がChild-Pugh分類のクラスBまたはCに層別化され、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 ACLFの基準を満たす臓器不全を伴う肝硬変における、 重度合併症の発現率であった。
副次的評価項目は移植または死亡、 および肝硬変の合併症 (腹水、 肝性脳症、 静脈瘤出血、 急性腎障害、 感染症) の複合エンドポイントであった。
無作為化された237例のうちChild-Pugh分類のクラスBは194例、 クラスCは43例であり、 男性が72%、 平均年齢は57歳であった。
主要評価項目であるACLFの発現率は、 併用療法群が17.9%、 プラセボ群が14.2%と両群間で有意差が認められなかった (HR 1.23 [95%CI 0.65-2.34]、 p=0.52)。
副次評価項目である移植または死亡率、 および複合エンドポイントである肝硬変の合併症の発現率においても、 以下のとおり、 両群間で有意差を示さなかった。
移植または死亡率
HR 0.75 (95%CI 0.43-1.32)、 p=0.32
肝硬変の合併症の発現率
HR 0.93 (95%CI 0.63-1.36)、 p=0.70
著者らは 「標準治療にシンバスタチンおよびリファキシミンを併用しても、 非代償性肝硬変患者の転帰は改善しない」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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