【海外論文】マクロライド系抗菌薬の経口投与、 小児の感音性難聴リスク増加と関係か
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【海外論文】マクロライド系抗菌薬の経口投与、 小児の感音性難聴リスク増加と関係か

【海外論文】マクロライド系抗菌薬の経口投与、 小児の感音性難聴リスク増加と関係か
Dabekaussenらは, 小児, 青年, 若年成人に対するマクロライド系抗菌薬の経口投与が感音性難聴のリスク増加に与える影響を後ろ向き症例対照研究で検討. その結果, 感音性難聴の小児, 青年, および若年成人は, 外来でのマクロライドの経口使用のオッズ比がペニシリンと比較して高いことが明らかとなった. 本研究は, JAMA Otolaryngol Head Neck Surg誌において発表された. 

📘原著論文

Dabekaussen KFAA, et al, Association of Outpatient Oral Macrolide Use With Sensorineural Hearing Loss in Children, Adolescents, and Young Adults. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2022 Jul 21;e221293.PMID: 35862062

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

2018年の成人でのシステマティックレビューに続いて, 本研究成果は 「青年, 若年成人に対するマクロライド系抗菌薬の経口投与が感音性難聴に関連する」 という大変興味深い仮説の提唱です. 今後の研究成果を慎重に見極める必要があります.


背景

マクロライド系抗菌薬の静脈内投与や高用量投与による感音性難聴の散発的な発症が報告されているが, 小児, 青年, 若年成人に対する外来経口投与の聴覚への影響に関する検討は限られている.

研究デザイン

  • 2009年10月1日~2014年9月30日の間に評価を受けたTRICAREのマッチドコントロール参加者とともに, すべての適格な小児科患者を対象とした.
  • 曝露:小児患者におけるマクロライド経口外来治療とペニシリン使用との比較.
  • 主要評価項目:小児, 青年, 若年成名における感音性難聴.
  • 多変量条件付きロジスティック回帰を用いて, 他のリスク因子や潜在的交絡因子で調整した上で, マクロライドへの曝露歴とペニシリンへの曝露歴のリスクを比較した. さらに, 曝露と診断の間の4つの時間枠を評価.

研究結果

  • 参加者のバックボーン
  • 参加者の平均年齢:5.7歳
  • 男性:1,082名 (62%)
  • アジア人:58名 (3%)
  • 黒人:254名 (15%)
  • 白人:1,152名 (66%)
  • ネイティブアメリカンとその他の名種・民族:286名 (16%)
  • 多変量解析では, 感音性難聴に罹患した参加者は, ペニシリンと比較してマクロライド系抗菌薬への曝露の方がオッズ比が高かった.
調整オッズ比 1.31, 95%CI 1.05-1.64
  • 抗菌薬の曝露から180日以上経過してから診断・検査を行った場合, ペニシリンと比較してマクロライド系抗菌薬への曝露の方がオッズ比が有意に高かった.
調整オッズ比 1.79, 95%CI 1.23-2.60

結論

この後ろ向き症例対照研究において, 感音性難聴の小児, 青年, および若年成人は, 外来でのマクロライド系抗菌薬の経口使用のオッズがペニシリンと比較して高く, 特に, 曝露後180日以上経ってから診断を受けた場合に, その傾向が示唆された. 小児, 青年, 若年成人におけるマクロライドと感音性難聴との関連について, さらなる研究が必要である.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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