海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前

Wangらは、 ドイツのワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症 (VITT) 患者を対象として、 その発症に関与する誘発抗原や免疫病態を明らかにする目的で、 抗血小板第4因子 (PF4) 抗体のプロテオミクス解析および免疫グロブリン軽鎖遺伝子シーケンシングを実施した。 その結果、 免疫グロブリン軽鎖アレルIGLV3-21*02または*03を有する個人において、 アデノウイルスコア蛋白質VII (pVII) に対する抗体に体細胞超変異が生じることで、 抗体標的がpVIIからPF4へシフトし、 VITTが発症することが示唆された。 本研究はNEJM誌において発表された。
ヒト特異的 IGLV3-21*02/*03 アレルへの依存性により動物モデルでの機序解明が困難である点をlimitationとして挙げています。
VITTは、 COVID-19に対するアデノウイルスベクターワクチン接種後に稀に発生する血栓性合併症であり、 自然のアデノウイルス感染後にも発生することがある。 VITTは、 PF4に対する血小板活性化抗体によって誘発されるが、 その誘因となる抗原や免疫病態は未だ解明されていない。
ドイツにおいて、 VITT患者21例から抗PF4抗体のアミノ酸配列を抗体プロテオミクスを用いて決定し、 さらに、 VITT患者100例から免疫グロブリン軽鎖超可変領域をコードする遺伝子をシーケンシングした。
アデノウイルス誘発因子を特定するため、 抗PF4抗体および抗アデノウイルス蛋白質抗体の抗原結合フィンガープリントを用いて共通の血清クローノタイプを特定し、 その後、 アデノウイルス蛋白質ペプチドおよび組換え抗PF4 VITT抗体を用いて模倣線状エピトープをマッピングした。
VITT抗体のゲノムおよびプロテオーム解析により、 重要な体細胞超変異K31Eを有する共通の免疫グロブリン軽鎖アレルIGLV3-21*02または*03が明らかになった。 pVIIに対して精製された抗体のみが、 VITTフィンガープリントと一致する抗PF4抗体種を含んでおり、 完全なウイルス粒子や他のアデノウイルス蛋白質に対する抗体では認められなかった。 交差反応性IgGはpVII上の塩基性線状エピトープにマッピングされた。
病原性抗PF4 VITT抗体を生殖細胞型 (K31) へ逆変異させると、 in vitroおよびin vivoでその血栓形成活性が消失し、 pVIIに優先的に結合した。
この知見は、 pVIIからPF4への抗原シフトにおける体細胞超変異の役割を直接的に支持するものであった。
著者らは 「本研究の結果より、 免疫グロブリン軽鎖アレルIGLV3-21*02または*03を有する個人において、 pVIIの特定のエピトープを認識する抗体に体細胞超変異が生じることで、 抗体標的がpVIIからPF4へシフトし、 VITTが発症することが示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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