HOKUTO編集部
12ヶ月前
増殖能が高いグレード (G) 2/3でソマトスタチン受容体(SSTR)陽性の未治療消化器原発神経内分泌腫瘍 (GEP-NETs) 患者において、 放射線同位体ルテチウムオキソドトレオチド (177Lu) を標識した放射性医薬品-DOTATATE (以下、 177Lu-DOTATATE、 商品名ルタテラ) を用いた、 ペプチド受容体放射性核種療法 (PRRT) +オクトレオチド併用療法の有効性および安全性を、 オクトレオチド単剤との比較により検証した第Ⅲ相無作為化比較試験NETTER-2の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善が示された。 カナダ・University of TorontoのSimron Singh氏が発表した。
現在、 高悪性度の高分化型GEP-NETsに対する第一選択となる治療法はなく、 アンメットニーズが残っている。 放射線リガンド療法 (RLT) は、 従来の全身療法、 放射線療法、 外科療法の領域を超えた革新的な癌治療法であり、 NETTER-1試験では、 G1/2で進行性SSTR陽性の中腸NETの治療法として、 PRRTが確立された。
本試験は、 固形癌における第一選択薬としてRLTを評価した初めての試験である。
G2またはG3でSSTR陽性の進行GEP-NETsのうち下記の条件を満たす患者
226例を以下の2群に2 : 1で割り付けた。
主要評価項目
PFS
副次的評価項目
奏効率 (ORR)、 QOL
両群間で同様であった。
177Lu-DOTATATE群の88%が177Lu-DOTATATEを4サイクル完了した。
177Lu-DOTATATE群は対照群に比べ、 PFSが有意に延長した。
HR 0.276 (95%CI 0.182-0.418)、 p<0.0001
事前に規定された全てのサブグループにおいて、 177Lu-DOTATATE群の対照群に対する優位性が一貫して認められた。
177Lu-DOTATATE群のORRは対照群に比べて著しく高かった。
OR 7.81 (95%CI 3.32-18.40)、 p<0.0001
EORTC QLQ-C30に基づくQOLが悪化するまでの時間は、 両群で同等であった。
Grade3以上の治療関連AEの発現割合
Grade3以上の>3%発現の主なAE
Gradeを問わない>20%発現の主なAE
未治療でG2/G3の進行GEP-NETs患者において、 177Lu-DOTATATE+オクトレオチド併用療法はオクトレオチド単剤療法と比較してPFSを有意に延長し、 高いORRを示した。 安全性は177Lu-DOTATATEの既知のプロファイルと同様であった。 本試験の結果から、 同疾患に対する1次治療としての177Lu-DOTATATEの使用が支持される。
(田中 理子)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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