海外ジャーナルクラブ
2年前
Yapらは、 進行食道扁平上皮癌に対する免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) と化学療法を比較した臨床試験の統合解析を行い、 PD-L1の発現が低い患者におけるICIの有効性を検討。 その結果、 tumor proportion score (TPS) が1%未満のサブグループにおいて、 化学療法単独と比較して、 第一選択薬によるICIベースのレジメンには生存利益がないことを示唆された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
Real worldデータにおいても理論的背景と一致してPD-L1の発現が低い患者群においてはICIが化学療法に比べて生存利益がないことを示唆しています。 大切なことは実臨床なのでこれで終わりでなく、 この患者群に次にどのような治療を施していくのか、 今後の研究成果が待たれます。
ICIは、 ファーストラインとセカンドラインの両方で、 進行食道扁平上皮癌患者の生存率を改善している。 しかし、 PD-L1の発現が低い患者におけるICIの有用性はいまだ不明である。
進行性食道扁平上皮癌に対する抗PD-1ベースのレジメンの有効性を検討し、 全生存期間 (OS) 、 無増悪生存期間 (PFS) 、 奏効期間 (DOR) を報告した無作為化臨床試験を対象とした (データソース:Scopus、 Embase、 PubMed、 Web of Science)
PD-L1発現が低いサブグループのOSのKaplan-Meier曲線とハザード比 (HR)を評価した。
無増悪生存期間 (PFS)と奏効期間 (DOR) を評価した。
CheckMate-648、 ESCORT-1st、 KEYNOTE-590、 ORIENT-15、 KEYNOTE-181、 ESCORT、 RATIONALE-302、 ATTRACTION-3、 ORIENT-2などの登録患者 4,752名が対象と解析対象となった。
TPSで評価した第一選択薬の試験 (CheckMate-648、 ESCORT-1st) の統合解析では、 TPSが1%未満のサブグループにおいて、 免疫化学療法による有意なOSの改善は認められなかった (P=0.38, HR 0.91、 95%CI 0.74-1.12)
Combined positive score (CPS) で評価した第一選択薬の試験 (KEYNOTE-590、 ORIENT-15) の統合解析では、 CPSが10未満のサブグループで、 化学療法と比較して免疫化学療法に有意だが中程度のOSの改善がみられた (P=0.01, HR 0.77、 95%CI 0.62-0.94)
TPSが1%未満のサブグループにおいて、 化学療法単独と比較して、 第一選択薬によるICIベースのレジメンには生存利益がないことを示唆する所見が得られた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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