海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前

Procopiらは、 フランスにおいて、 合併症のない心筋梗塞 (MI) の既往を有する患者を対象に、 β遮断薬の中断が血圧および心拍数に及ぼす影響を多施設共同非盲検無作為化非劣性試験AβYSSで評価した。 その結果、 β遮断薬の中断により血圧および心拍数は有意に上昇し、 特に高血圧の既往を有する患者において予後に悪影響を及ぼす可能性が示された。 本研究はEur Heart J誌において発表された。
MI後のβ遮断薬の中断の研究でフランスからの大変面白い研究です。 β遮断薬の種類による分析や高血圧の層別化が行われていないことはlimitationです。
AβYSS試験の主要解析結果
MI後のβ遮断薬の適切な投与期間は定まっていない。
フランスの49施設において、 合併症のないMIの既往を有し、 左室駆出率 (LVEF) が保たれている患者を対象としたAβYSS試験の主要解析において、 β遮断薬治療中断群は継続群と比べて主要複合評価項目 (死亡、 MI、 脳卒中、 心血管疾患による入院) の発生リスク上昇を示し、 β遮断薬治療中断群の継続群に対する非劣性は認められなかった (発生率 23.8% vs 21.1%、 リスク差 2.75%㌽ (95%CI 0.04-5.47%㌽)、 p=0.047、 HR 1.16 [95%CI 1.01-1.33]) ¹⁾。
そこで本研究では、 AβYSS試験の2次解析において、 β遮断薬の中断または継続が血圧および心拍数に及ぼす影響を評価した。
AβYSS試験に参加した3,698例を対象に、 追跡期間中央値3年におけるベースラインから無作為化後の血圧および心拍数の変化を、 線形混合反復モデルを用いて報告した。
さらに、 事前に規定されたサブグループとして高血圧の既往の有無別の血圧および心拍数の変化、 および主要複合評価項目への影響を、 それぞれ線形混合反復モデルおよび調整済みCox比例ハザードモデルを用いて評価した。
β遮断薬の中断は、 6ヵ月時点で収縮期血圧 (最小二乗平均差 +3.7mmHg [95%CI 2.6-4.8mmHg]、 p<0.001)、 拡張期血圧 (同 +3.3mmHg [95%CI 2.6-4.0mmHg]、 p<0.001)、 および安静時心拍数 (同 +10bpm [95%CI 9-11bpm]、 p<0.001) の有意な上昇と関連していた。 この上昇は、 降圧薬の投与量が増加したにもかかわらず、 追跡期間中も持続した。
これらの影響は、 高血圧患者 (43%) および非高血圧患者 (57%) の双方で認められた。
高血圧患者は非高血圧患者と比べて主要転帰イベントリスクが高く (25.8% vs 19.2%、 調整HR 1.18 [95%CI 1.01-1.36]、 p=0.03)、 特にβ遮断薬中断群に割り付けられた場合、 同リスクが著明に増加した (リスク差 5.02%㌽ [95%CI 0.72-9.32%㌽]、 p=0.014)。
著者らは 「合併症のないMI後の患者において、 β遮断薬治療の中断は、 血圧および心拍数の持続的な上昇と関連し、 特に高血圧の既往を有する患者において予後に悪影響を及ぼす可能性があることが示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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