日本人高齢者への抗凝固薬と脳出血入院リスク : ワルファリンはDOACより約1.7倍高リスク
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

日本人高齢者への抗凝固薬と脳出血入院リスク : ワルファリンはDOACより約1.7倍高リスク

日本人高齢者への抗凝固薬と脳出血入院リスク : ワルファリンはDOACより約1.7倍高リスク
東京都健康長寿医療センターの光武誠吾氏らの研究グループは、 75歳以上の日本人高齢患者のレセプトデータを基に抗凝固薬使用と脳出血による入院リスクとの関連性を傾向スコアマッチングを用いた後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 抗凝固薬使用により脳出血による入院リスクが1.64倍増加し、 ワルファリンによるリスクは直接経口抗凝固薬 (DOAC) の1.67倍であった。 本研究はAging Clin Exp Res誌において発表された。

📘原著論文

The association of anticoagulant use and hospitalization for hemorrhagic stroke among older adults aged 75 or older: A propensity score-matched study. Aging Clin Exp Res. 2025 Nov 13;37(1):322. PMID: 41231328

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

保険請求データ研究全般に言えることですが、 疾患重症度に関する情報がないため、 重症度を共変量として解析に組み込むことができなかった点がlimitationです。

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Lancet. 2025 Jul 5;406(10498):43-51.

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Lancet. 2025 Mar 15;405(10482):927-936.

背景

抗凝固薬使用と脳出血による入院リスクとの関連を評価

高齢者における抗凝固薬使用と脳出血発症との関連を検討した日本の地域住民ベースの研究は限られている。

そこで本研究では、 抗凝固薬使用と脳出血による入院リスクとの関連、 および抗凝固薬としてワルファリンとDOACの相違を評価した。

研究デザイン

対象は北海道在住の75歳以上の高齢患者71万7,097例のレセプトデータ

2016年4月~2017年3月 (ベースライン期間) に医療機関を受診した北海道在住の75歳以上の高齢患者のうち、 同期間における死亡者や脳出血による入院者を除いた71万7,097例のレセプタデータを基に、 傾向スコアマッチングを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。

曝露変数はベースライン期間中の抗凝固薬使用、 アウトカム変数は2017年4月~2020年3月の脳出血による入院とした。 年齢、 性別、 自己負担率、 併存疾患、 年1回の健康診断受診状況、 要介護認定を共変量として調整した1 : 1のマッチングデザインで、 抗凝固薬使用群と非使用群の脳出血による入院発生率を比較評価した。

結果

抗凝固薬使用で脳出血による入院発生リスクが1.64倍増加

対象患者のうち 6万6,916例 (9.3%) が抗凝固薬を使用していた。

傾向スコアマッチング後、 脳出血による入院発生率は、 抗凝固薬使用群が383.2/100万人月であり、 非使用群の252.2/100万人月と比べて有意に高かった (HR1.64 [95%CI 1.39-1.93])。

ワルファリンはDOACと比べて脳出血による入院発生リスクが1.67倍

さらに、 1種類の抗凝固薬を使用した患者6万1,556例を対象として傾向スコアマッチング後に解析した結果、 ワルファリン使用群はDOAC使用群と比べて脳出血による入院発生率が有意に高かった (HR 1.67 [95%CI 1.39-2.01])。

結論

高齢者への抗凝固薬、 特にワルファリン処方には慎重な検討が必要

著者らは 「本研究の結果は、 高齢者に抗凝固薬、 特にワルファリンを処方する際には、 脳出血のリスクを最小限に抑えるため、 慎重な検討が必要であることを示している」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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