【Lancet】シェーグレン症候群に対する抗CD40モノクローナル抗体iscalimabが有望
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2ヶ月前

【Lancet】シェーグレン症候群に対する抗CD40モノクローナル抗体iscalimabが有望

【Lancet】シェーグレン症候群に対する抗CD40モノクローナル抗体iscalimabが有望
Fisherらは、 シェーグレン症候群患者を対象に、 抗CD40モノクローナル抗体iscalimabの安全性および有効性について、 第Ⅱb相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で検討した。 その結果、 iscalimabの有意な用量反応関係と臨床的有用性が示された。 本研究はLancetにて発表された。 

📘原著論文

Safety and efficacy of subcutaneous iscalimab (CFZ533) in two distinct populations of patients with Sjögren's disease (TWINSS): week 24 results of a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2b dose-ranging study. Lancet. 2024 Aug 10;404(10452):540-553. PMID: 39096929

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

シェーグレン症候群に対する標的治療に期待をもたらす研究成果です。 患者数が少なかったり、 観察期間が短かったりというlimitationがありますが、 第Ⅱb試験とすればacceptableです。

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研究目的

抗CD40モノクローナル抗体iscalimabの安全性と有効性を評価

シェーグレン症候群は慢性の自己免疫疾患で、 標的治療へのアンメットニーズが存在する。 そこで本研究は、 シェーグレン病患者における抗CD40モノクローナル抗体iscalimabの安全性および有効性について評価することを目的とした。

研究デザイン

ACR/EULAR基準を満たすシェーグレン病患者が対象

米国リウマチ学会 (ACR) /欧州リウマチ学会 (EULAR) の2016年の基準を満たす18歳以上のシェーグレン病患者を対象とした。

用量設定コホートと概念実証コホートでiscalimabを投与

第Ⅱb相、 無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験 (23ヵ国、 71施設で実施)。 以下の2つのコホートを設定し、 それぞれiscalimabの投与を行った。

コホート1(用量設定コホート) : 173例

EULAR Sjögren's Syndrome Disease Activity Index (ESSDAI) スコア≧5かつEULAR Sjögren's Syndrome Patient Reported Index (ESSPRI) スコア≧5

以下の群に1 : 1 : 1 : 1で無作為に割り付け、 皮下投与した。

  • Iscalimab 150mg群 : 44例
  • Iscalimab 300mg群 : 43例
  • Iscalimab 600mg群 : 43例
  • プラセボ群 : 43例

コホート2(概念実証コホート) : 100例

ESSDAIスコア<5、 ESSPRI (乾燥症状または疲労) スコア≧5、 日常生活へのドライアイの影響スコア≧30

以下の群に1 : 1で無作為に割り付け、 皮下投与した。

  • Iscalimab 600mg群 : 50例
  • プラセボ群 : 50例

コホート1では用量-反応関係、 コホート2ではiscalimab 600mgの効果を評価

コホート1の主要エンドポイント

ベースラインから24週時までのESSDAIの変化に基づくiscalimabの用量-反応関係を、 Multiple Comparison Procedure-Modelling (MCP-Mod)で示す。

コホート2の主要エンドポイント

24週時のiscalimab 600mgの効果を、ESSPRIを用いて評価する。

コホート1の結果

有意な用量-反応関係が示された

設定した4つのモデルのうち1つにおいて、 プラセボで調整したESSDAIのベースラインからの変化は有意な用量-反応関係を示した。

Linlog model (片側p=0.0041)

3つの用量群のすべてで24週時のESSDAIはベースラインから低下した。有意な改善がみられたのはiscalimab150mg群および600mg群であった。

ベースラインと24週時のESSDAI*の差

  • Iscalimab 150mg群 : -3.0
(95%CI -4.9~-1.1)、 p=0.0025
  • Iscalimab 600mg群 : -2.9
(95%CI -4.9~-1.0)、 p=0.0037
*プラセボ調整最小二乗 (LS) 平均値

重篤な有害事象はあるが死亡はなし

安全性については、重篤な有害事象が9例で報告された。死亡は認められなかった。

  • プラセボ群 : 1例 (2%)
  • Iscalimab 150mg群 : 1例 (2%)
  • Iscalimab 300mg群 : 3例 (7%)
  • Iscalimab 600mg群 : 4例 (9%)

コホート2の結果

ESSPRIの改善傾向あり

Iscalimab 600mgの投与によって、ESSPRIに改善傾向がみられた。ただし、統計学的有意差は認められなかった。

ESSPRI*のベースラインからの変化

-0.57㌽ (95%CI -1.30~0.15㌽)、 p=0.12

*プラセボ調整LS平均値

重篤な有害事象は4%、死亡はなし

安全性については、重篤な有害事象が4例で報告された。死亡は報告されなかった。

  • プラセボ群 : 2例 (4%)
  • Iscalimab 600mg群 : 2例 (4%)

結論

Iscalimabの忍容性は良好、 臨床的ベネフィット示される

著者らは 「本試験は、 24週時の疾患活動性に関してiscalimabの有意な用量反応関係を示すという主要な目的を達成した。 2つの異なるシェーグレン症候群患者集団において、 iscalimabの忍容性は良好で、 プラセボに比べた臨床的ベネフィットを示した。 この結果は今後、 より大規模な試験で確認する必要がある」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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