海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Fisherらは、 シェーグレン症候群患者を対象に、 抗CD40モノクローナル抗体iscalimabの安全性および有効性について、 第Ⅱb相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で検討した。 その結果、 iscalimabの有意な用量反応関係と臨床的有用性が示された。 本研究はLancetにて発表された。
シェーグレン症候群に対する標的治療に期待をもたらす研究成果です。 患者数が少なかったり、 観察期間が短かったりというlimitationがありますが、 第Ⅱb試験とすればacceptableです。
シェーグレン症候群は慢性の自己免疫疾患で、 標的治療へのアンメットニーズが存在する。 そこで本研究は、 シェーグレン病患者における抗CD40モノクローナル抗体iscalimabの安全性および有効性について評価することを目的とした。
米国リウマチ学会 (ACR) /欧州リウマチ学会 (EULAR) の2016年の基準を満たす18歳以上のシェーグレン病患者を対象とした。
第Ⅱb相、 無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験 (23ヵ国、 71施設で実施)。 以下の2つのコホートを設定し、 それぞれiscalimabの投与を行った。
コホート1(用量設定コホート) : 173例
以下の群に1 : 1 : 1 : 1で無作為に割り付け、 皮下投与した。
コホート2(概念実証コホート) : 100例
以下の群に1 : 1で無作為に割り付け、 皮下投与した。
コホート1の主要エンドポイント
ベースラインから24週時までのESSDAIの変化に基づくiscalimabの用量-反応関係を、 Multiple Comparison Procedure-Modelling (MCP-Mod)で示す。
コホート2の主要エンドポイント
24週時のiscalimab 600mgの効果を、ESSPRIを用いて評価する。
設定した4つのモデルのうち1つにおいて、 プラセボで調整したESSDAIのベースラインからの変化は有意な用量-反応関係を示した。
3つの用量群のすべてで24週時のESSDAIはベースラインから低下した。有意な改善がみられたのはiscalimab150mg群および600mg群であった。
ベースラインと24週時のESSDAI*の差
安全性については、重篤な有害事象が9例で報告された。死亡は認められなかった。
Iscalimab 600mgの投与によって、ESSPRIに改善傾向がみられた。ただし、統計学的有意差は認められなかった。
ESSPRI*のベースラインからの変化
-0.57㌽ (95%CI -1.30~0.15㌽)、 p=0.12
安全性については、重篤な有害事象が4例で報告された。死亡は報告されなかった。
著者らは 「本試験は、 24週時の疾患活動性に関してiscalimabの有意な用量反応関係を示すという主要な目的を達成した。 2つの異なるシェーグレン症候群患者集団において、 iscalimabの忍容性は良好で、 プラセボに比べた臨床的ベネフィットを示した。 この結果は今後、 より大規模な試験で確認する必要がある」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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