海外ジャーナルクラブ
2日前

SNAP試験の研究グループは、 ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌 (PSSA) 菌血症の成人を対象に、 ベンジルペニシリンと抗ブドウ球菌ペニシリン (flucloxacillinまたはcloxacillin) を国際共同無作為化比較試験で比較した。 その結果、 90日全死亡については事前規定の非劣性基準を満たさなかったものの、 ベンジルペニシリンの非劣性事後確率は96.1%であり、 急性腎障害 (AKI) のリスクは低かった。 試験結果はLancetに発表された。
本試験は事前規定の中止閾値到達前に早期中止された中間解析であり、 90日死亡の非劣性は事前基準を満たさず事後確率での評価にとどまる点はlimitationです。 開放ラベル試験である点や日本での薬剤入手性の差にも留意が必要です。
かつて稀とされたペニシリン感受性黄色ブドウ球菌 (PSSA) による菌血症は、 世界的に再興している。 ベンジルペニシリンは薬物動態や有害事象プロファイルの面で利点が期待される一方、 検出されないペニシリン耐性への懸念から、 重症感染症には抗ブドウ球菌ペニシリンが推奨されてきた。 そこで研究グループは、 成人のPSSA菌血症に対するベンジルペニシリンと抗ブドウ球菌ペニシリン (cloxacillinまたはflucloxacillin) の比較を試みた。
本試験は、 進行中のS aureus Network Adaptive Platform (SNAP) 試験のbackbone domainのPSSA siloで実施された研究者主導の国際共同・多施設・非盲検・非劣性無作為化比較試験である。 オーストラリア、 ニュージーランド、 カナダ、 イスラエル、 オランダ、 英国、 シンガポール、 南アフリカの67施設で黄色ブドウ球菌菌血症により入院した患者を組み入れ、 本報告では成人 (18歳以上) の結果を報告する。 患者は以下の2群に1:1で無作為化された。
主要評価項目は、 プラットフォーム登録後90日の全死亡であり、 データが得られた全患者を含むintention-to-treat集団で評価した。 主要評価項目は階層的ベイズロジスティック回帰モデルで解析され、 ベンジルペニシリンの非劣性は補正オッズ比 (OR) が1.20未満と定義された。
第4回中間解析後、 flucloxacillinまたはcloxacillinを受けた患者で急性腎障害 (AKI) の増加が認められた。 そのため、 データ安全性モニタリング委員会は、 事前規定の中止閾値に達する前に組み入れ中止を勧告し、 PSSA siloは2024年8月7日に組み入れを終了した。
2022年2月18日~2024年6月21日に、 PSSA菌血症の成人493例のうち、 125例がflucloxacillinまたはcloxacillin群、 156例がベンジルペニシリン群に無作為に割り付けられた。 年齢中央値は67歳 (IQR 56-77) で、 87例 (31%) が女性、 194例 (69%) が男性であった。
90日死亡は、 ベンジルペニシリン群で152例中21例 (14%)、 flucloxacillinまたはcloxacillin群で121例中26例 (22%) に認められた (補正OR 0.67、 95%信用区間 [CrI] 0.35-1.28)。 ベンジルペニシリンの非劣性事後確率は96.1%、 優越性事後確率は88.9%であったが、 事前規定の非劣性基準 (補正OR 1.20未満) は満たされなかった。
AKIは、 ベンジルペニシリン群で153例中17例 (11%)、 flucloxacillinまたはcloxacillin群で124例中27例 (22%) に発生した (補正OR 0.50、 95%CrI 0.26-0.94)。 これは、 ベンジルペニシリンの非劣性事後確率99.8%、 優越性事後確率98.4%に相当した。
重篤な副作用は、 ベンジルペニシリン群で156例中6例 (4%) から計7件、 flucloxacillinまたはcloxacillin群で125例中9例 (7%) から計10件が報告された。
著者らは、 「ベンジルペニシリンの事前規定の非劣性基準は満たされなかったものの、 死亡に対する非劣性の確からしさとAKIリスクの低下を踏まえると、 成人のPSSA菌血症治療において、 ベンジルペニシリンはflucloxacillinまたはcloxacillinよりも選好されるべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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