【Breast】整腸剤でアベマシクリブ誘発下痢の発生率は減少せず
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Breast】整腸剤でアベマシクリブ誘発下痢の発生率は減少せず

【Breast】整腸剤でアベマシクリブ誘発下痢の発生率は減少せず
Masudaらは、 HR陽性HER2陰性の進行乳癌患者を対象に、 アベマシクリブ誘発下痢 (AID) に対するプロバイオティクス (ビフィズス菌整腸剤) とマレイン酸トリメブチン (TM) の有効性を非盲検第Ⅱ相無作為化比較試験MERMAIDで検討。 その結果、 プロバイオティクスまたはプロバイオティクスとTMの併用によってGrade 3以上の下痢は減少したものの、 Grade 2以上の下痢の発生率はヒストリカルコントロールと比較して減少しなかった。 本研究はBreast誌において発表された。 

📘原著論文

Efficacy of probiotics and trimebutine maleate for abemaciclib-induced diarrhea: A randomized, open-label phase II trial (MERMAID, WJOG11318B). Breast. 2023 Jul 13;71:22-28. PMID: 37459790

👨‍⚕️監修医師のコメント

患者数は約50名ですが、 24施設が参加されており、 短期間ですがselection biasの可能性がありそうです。

🔢関連コンテンツ

ベージニオ錠 50mg / 100mg / 150mg

アベマシクリブ

セレキノン錠 100mg

マレイン酸トリメブチン

乳癌のTNM臨床病期分類

乳腺腫瘍のTNM分類 (UICC-8版)

CTCAEver5.0:下痢


背景

アベマシクリブ誘発下痢 (AID) は、 乳癌患者におけるQOLと治療アドヒアランスを損なう。 一方、 止瀉薬ロペラミドによる支持療法は便秘を引き起こすことがある。 今回、 プロバイオティクスとマレイン酸トリメブチン (TM) が便秘を引き起こすことなく AIDの頻度を減らすだろうという仮説を検証した。

研究デザイン

対象

HR陽性HER2陰性の進行乳癌患者

介入

患者を以下の群に無作為に割り付け

  • プロバイオティクス群 
内分泌療法として、 アベマシクリブとプロバイオティクス (ビフィズス菌整腸剤) を1日3回、 28日間両群に投与
  • プロバイオティクス +TM群
プロバイオティクスだけでなく下痢発症時にTMを投与

主要評価項目

Grade 2以上の下痢を経験した患者の割合

【Breast】整腸剤でアベマシクリブ誘発下痢の発生率は減少せず

副次評価項目

安全性、 全Grade の下痢の頻度と期間、 嘔吐と便秘の頻度、 ロペラミドの使用量、 試験期間中の健康関連QOL/患者報告アウトカム

研究結果

Grade 2の下痢の発現

  • プロバイオティクス群  :52%
  • プロバイオティクス +TM:50%

Grade 3の下痢の発現

各群でGrade 3の下痢を経験した患者は1人であった。

Grade 2の下痢の期間中央値

  • プロバイオティクス群  :2日
  • プロバイオティクス +TM:2.5日

減量を必要とした患者

減量を必要とした患者は1例のみであった。

Grade 2以上の便秘の発現

  • プロバイオティクス群  :4%
  • プロバイオティクス +TM:3.6%

結論

AIDについて、プロバイオティクス単独またはプロバイオティクス+TMの併用によりGrade 3以上の下痢は減少したものの、 Grade 2以上の下痢の発生率はヒストリカルコントロールと比較して減少しなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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