【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)
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HOKUTO編集部

2年前

【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)

【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)

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前回までRetを指標とした貧血初期評価を解説しました。 今回はMCV値を取り上げます!

貧血フローチャート

【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)

前回までのフロー

【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)

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MCVによる鑑別

MCVとは平均赤血球容積: mean corpuscular volumeの略で、 以下の式で計算される。 要は赤血球1個の大きさの平均値の指標の一つである。

MCV = ヘマトクリット(Hct) ÷ 赤血球数(×10⁶/μl) × 10 (fL: フェムトリットル)

MCVによる貧血の分類と鑑別

【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)
MCVを赤血球恒数と呼び、 他にもMCHやMCHCなどがある。しかしこれらからMCV以上の情報は得られないことが多いので知っておくだけでよい

小球性貧血

最も遭遇する頻度が高い貧血、 特に「鉄欠乏性貧血」は貧血全体でみても最多原因

(1) 代表的疾患

鉄欠乏性貧血、 慢性疾患/炎症に伴う貧血(ACD)、 サラセミアなど

(2) 実際の鑑別方法

フェリチン、 T-SATなど鉄動態指標をもとに鑑別を進める (詳細は次回)。

(3) 鑑別の注意点

小球性の時点で、 赤血球産生に鉄が利用できていない病態があると考えたほうがよい。

不足や利用障害など、鉄欠乏性貧血なら原因が重要 (詳細次回)

大球性貧血

大球性貧血は小球性貧血と合併すると正球性~小球性となることがあり要注意

(1) 代表的疾患

巨赤芽球性貧血(ビタミンB12/葉酸欠乏)、 肝疾患やアルコールによる貧血、 甲状腺機能低下症、 骨髄異形成症候群など

(2) 実際の鑑別方法

後述のRDW (赤血球分布幅) や血液像、 血球数、骨髄穿刺などで鑑別を進める (詳細は次回以降)

(3) 鑑別の注意点

巨赤芽球性貧血以外の疾患はMCV100~110程度であることが多い

巨赤芽球性貧血はMCVが110を超えることが多い。ただし悪性貧血の過去の研究では、 巨赤芽球性貧血でMCVが100を超える患者は40%弱に留まったことが報告されている¹⁾

小球性貧血と合併している場合には、 MCVが正常~低値となることがある

正球性~小球性貧血であっても隠れた大球性貧血の合併は否定できない

出血や溶血性貧血では、 網状赤血球が増加しMCVは上昇する

網状赤血球が成熟赤血球よりも大きいため。 しかし本連載で。まず網状赤血球&RPIを評価していればクリアカットに考えられるはずである。

正球性貧血

正球性貧血は何でもあり。 複数病態が合併する場合も多く、 正球性貧血を適切にアプローチしてマネジメントできれば貧血マスター!

(1) 代表的疾患

腎性貧血、 溶血性貧血(網状赤血球&RPIで鑑別しているはず)、 血液腫瘍(他系統の血球減少を伴う)、 骨髄癌腫症など

(2) 実際の鑑別方法

腎性貧血や複数の貧血病態の複合を念頭に鑑別していく (詳細は次回以降)。

(3) 鑑別の注意点

小球性貧血+大球性貧血でも正球性となる

大球性貧血の鑑別で示した肝疾患/アルコールによる貧血、 甲状腺機能低下症、 MDSなども正球性となり得る。

鉄欠乏性貧血やACDは初期には正球性となる

小球性貧血の鑑別で上げたが初期には正球性となるため要注意

正球性貧血を呈するとされる腎性貧血でも、 鉄欠乏性貧血を合併すれば小球性貧血となる。


RDW (赤血球分布幅)とは?

RDWとは、RBC Distribution Widthの略で、 赤血球容積の均一性を表す指標である。 多くの自動血球計数器で自動計算されている。

RDW高値⬆ (≒ばらつき大きい)

複数病態(小球性貧血+大球性貧血)では大きい赤血球や、 小さい赤血球が混在しており、 RDWは高値となる。 赤血球液輸血後も高値となる

RDW正常値➡ (≒ばらつきなし)

単一病態による貧血はRDWが正常値となる。

血液塗抹標本とRDWどっちが有用?

RDWは簡便で有用な指標だが、 研究では精度の低さが示唆される²⁾³⁾。 熟練者による末梢血液塗抹標本の鏡検に優るものではない。

鏡検なら赤血球の形態異常や大きさのばらつきは一目瞭然

Take home messages

  1. MCVによる鑑別疾患をマスターする!
  2. 正球性貧血は複数病態の関与を必ず評価!
  3. RDWと塗抹標本の鏡検の有用性を知る!
【もう迷わない!】貧血マネジメント③「MCVによる鑑別総論」(聖路加藤野先生)

連載一覧

  1. 貧血総論 「もう迷わない!」
  2. 出血と溶血の違いは?
  3. MCVによる鑑別総論
  4. 小球性貧血のマネジメント
  5. 大球性貧血のマネジメント
  6. 正球性貧血のマネジメント (最終回)

参考文献

  1. Pernicious anemia revisited. Mayo Clin Proc. 1994 Feb;69(2):144-50. PMID: 8309266
  2. Efficacy of advanced discriminating algorithms for screening on iron-deficiency anemia and β-thalassemia trait: a multicenter evaluation. Am J Clin Pathol. 2012 Aug;138(2):300-4. PMID: 22904143
  3. Reliability of red blood cell indices and formulas to discriminate between beta thalassemia trait and iron deficiency in children. Hematology. 2010 Apr;15(2):112-5. PMID: 20423571

こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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