海外ジャーナルクラブ
4日前
Dinneenらは、 英国の限局性前立腺癌患者を対象に、 NeuroSAFEガイド下ロボット支援根治的前立腺全摘除術 (RARP) が術後の勃起機能および尿失禁に及ぼす影響を第Ⅲ相多施設共同患者盲検無作為化比較試験NeuroSAFE PROOFで検討した。 その結果、 NeuroSAFE群は標準的RARPと比べて、 勃起機能および早期の尿失禁で良好な転帰を示した。 試験結果はLancet Oncol誌に発表された。
「多施設共同研究」 ということで5施設での研究ですが、 75%が単一施設で実施されている点、 12ヵ月後のアウトカムまでしかない点がlimitationとして挙げられています。
NeuroSAFE*はロボット支援根治的前立腺全摘除術 (RARP) における神経温存に寄与し、 術後の勃起機能および尿失禁を改善する可能性がある。 一方で、 このNeuroSAFEが患者の転帰に及ぼす影響は明らかになっていない。
そこで、 NeuroSAFEガイド下RARPおよび標準的RARPの勃起機能・尿失禁に及ぼす影響を第Ⅲ相試験NeuroSAFE PROOFで評価した。
英国の病院5施設で、 治療歴がなく、 RARPが適応となる勃起機能が良好 (国際勃起機能スコア [IIEF-5] が22以上) な非転移性前立腺癌患者381例が、 以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は、 IIEF-5スコアを用いて評価した12ヵ月時の勃起機能であった。 副次的評価項目は、 国際共通の尿失禁症状・QOL質問票 (International Consultation on Incontinence Questionnaire : ICIQ) で評価した3ヵ月時および6ヵ月時の尿失禁、 およびIIEF-6で評価した12ヵ月時の勃起機能であった。
344例 (NeuroSAFE群173例、 標準的RARP群171例) で主要転帰が得られた。 追跡期間中央値は12.3ヵ月 (四分位範囲 [IQR] 11.8-12.7ヵ月) だった。
主要評価項目である12ヵ月時のIIEF-5スコア平均値は、 NeuroSAFE群が12.7 (SD 8.0) で、 標準群の9.7 (SD 7.5) に比べて有意に高かった (調整群間差 3.18 [95%CI 1.62-4.75]、 p<0.0001) 。
サブグループ解析で、 NeuroSAFE群および標準群における12ヵ月時のIIEF-5スコア平均値の調整群間差は、 両側神経温存が適格でなかった患者が、 適格であった患者と比べて高かった (95%CI 0.40-7.14、 p=0.028)。
副次評価項目である3ヵ月時のICIQスコア平均値は、 NeuroSAFE群が標準群と比べて有意に低かった (調整群間差 -1.41 [95%CI -2.42--0.41]、 p=0.006)。
6ヵ月時のICIQスコア平均値では、 両群間に有意差が認められなかった (調整群間差 -0.37 [95%CI -1.35-0.62]、 p=0.46)。
また、 12ヵ月時のIIEF-6スコア平均値は、 NeuroSAFE群が標準的群と比べて有意に高かった (15.3 [SD 9.7] vs 11.5 [SD 9.0]、 調整群間差 3.92 [95%CI 2.01-5.83]、 p<0.0001)。
重篤な有害事象はNeuroSAFE群では6/190例 (3%)、 標準群では5/191例 (3%) に発現した。
有害事象はすべて術後合併症であり、 重篤な有害事象や死亡は試験介入によるものではなかった。
著者らは 「NeuroSAFEガイド下でRARPを実施し、 神経温存を図ることにより、 12ヵ月時の勃起機能および早期の尿失禁が改善した。 勃起機能の改善は、 特に両側神経温存手術が適格でない患者で顕著であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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