HOKUTO編集部
1ヶ月前
神奈川県立がんセンターの廣島幸彦先生による本連載、 第2回は 「がんに関連する遺伝子変異と遺伝性腫瘍」 について解説します!
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生殖細胞 (卵子または精子) 以外の細胞を体細胞といい、 正常な体細胞が後天的に変異することを体細胞変異という。
発がんの主要因と考えられ、 ドライバー遺伝子の体細胞変異は分子標的薬の標的分子として注目されている。
▼体細胞変異の例
KRAS、 BRAF V600E、 PIK3CA、 AKT
一例として、 各癌におけるKRASの変異割合を以下に示す。
がん遺伝子検査は、 主にがん細胞由来の体細胞変異の検出を目的としている。
生殖細胞 (卵子または精子) に生じた遺伝子の変化で、 生まれてくる子のすべての細胞のDNAに受け継がれるため、 がん患者のすべての細胞に存在する。
また、 50%の確率で次の世代へ遺伝し、 遺伝性腫瘍発生の要因となる。
▼生殖細胞系列変異の例
BRCA1/2
→遺伝性乳癌卵巣がん (HBOC)の原因遺伝子
MLH1、 MSH2、 MSH6、 PMS2
→Lynch症候群の原因遺伝子
例えばBRCA2遺伝子に変異がある場合、 以下のがんの生涯発症リスクが上がる²⁾。
• 乳がん (⼥性 : 60%以上、 男性 : 1.8~7.1%)
• 卵巣がん (13~29%)
• 前⽴腺がん (19~61%)
• 膵がん (5~10%)
生殖細胞系列変異の有無の確定には、 遺伝学的検査が必要である。
腫瘍組織を用いるがん遺伝子パネル検査では、 体細胞変異と生殖細胞系列変異の両方が検出される。
そのため、 遺伝性腫瘍関連遺伝子に異常が見つかった場合は、 ヒト末梢血単核細胞 (PBMC) を使用した遺伝学的検査で確定診断を行う必要がある。
第3回では 「がん遺伝子検査で使用する検体」 について解説する。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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