【J Dermatol】尋常性乾癬の全身療法適応に関するコンセンサスを発表
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【J Dermatol】尋常性乾癬の全身療法適応に関するコンセンサスを発表

【J Dermatol】尋常性乾癬の全身療法適応に関するコンセンサスを発表
名古屋市立大学皮膚科教授の森田明理氏らは、 皮膚病変が限局する尋常性乾癬における全身療法の適応や、 局所療法効果不十分の定義に関するコンセンサスの形成を行った。 本研究は、 J Dermatol誌にて発表された。 "局所療法効果不十分"の定義に関する提案は世界初となるという。

📘原著論文

Expert consensus on systemic therapy for plaque psoriasis with limited skin involvement in JAPAN: Results from a DELPHI study. J Dermatol. 2024 Sep 4. Online ahead of print. PMID: 39229687

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Delphi法は、 最近よく用いられるエキスパートコンセンサスを体系化する方法です。 10段階でパネルメンバーが投票して、 それを繰り返しながら合意形成を行います。

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PASI スコア

乾癬の重症度評価

IGAスコア 2011年修正版

乾癬の医師による全般的評価

背景・目的

尋常性乾癬に関する日本独自の診療ガイドラインはなし

皮疹が限局する尋常性乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であり、 特定の部位に病変がある場合、 QOLに大きな影響を及ぼす可能性がある。

一方、 尋常性乾癬に関する日本独自の診療ガイドラインはなく、 皮疹が限局する尋常性乾癬に関する全身療法の導入基準に関するコンセンサスは得られていない。

全身療法の適応患者像と局所療法効果不十分の定義のコンセンサス形成が目的

本研究は、 Delphi法を用いて、 皮疹が限局する尋常性乾癬*における全身療法の適応患者像および局所療法効果不十分の定義のコンセンサスを形成することを目的とした。

* 「皮疹が限局」 は、 体表面積 (BSA) <10%を指す。

研究デザイン

関連論文を基にステートメントを精選し、 乾癬専門医45人による同意度合いを調査

コンセンサスの形成には、 乾癬専門医かつ診療経験5年以上の医師が参加した。

研究目的に関連する文献から13のステートメントを精選し、 Round 1では45人の医師が各ステートメントに対し10段階のリッカート尺度*¹を用いて同意の度合いを示した。

Round 1の結果を検討し、 必要に応じてRound 2でステートメントを精選した。 Round2では41人の医師が参加し、 各ステートメントに対するパネリストの同意を3段階評価*²で示した。

*¹"Strong consensus"を 「回答の70%以上が7~10で、 中央値が8以上」 とした。
*²"Strong consensus"を 「回答の70%以上が3点かつ中央値が3点」、 "Good consensus"を 「回答の70%以上が3点または中央値が3点」 とした。

研究結果

皮疹が限局する尋常性乾癬における全身療法の適応患者像、 および局所療法効果不十分の定義のコンセンサスは以下のように形成された。

全身療法の適応患者

以下の患者は全身療法を検討すべきである (Strong consensus)

  • 特別な部位、 治療困難な部位に病変がある
  • 精神的な苦痛が生じている
  • 社会生活に影響を及ぼす症状が生じている
鱗屑、 出血、 そう痒、 不眠など
  • 局所療法による治療効果が十分ではない

局所療法効果不十分の定義

以下の場合は局所療法の効果が不十分であると判断し、 全身療法を検討すべきである (Good consensus)

Strong consensusに至るステートメントはなかった。
  • 2つまたはそれ以上の局所療法で約4週間の治療を行っても、 症状・皮疹が持続する
  • 2つまたはそれ以上の局所療法で約4週間の治療を行っても、 患者の治療満足度が低い
  • 疾患の悪化により、 局所療法の増量または塗布時間が10~15分以上必要になる
  • 2つまたはそれ以上の局所療法で約8週間の治療を行っても、 Psoriasis Area Severity Index (PASI) スコアが>3、 またはPhysician global assessment (PGA) が≧2である

結論

"局所療法効果不十分"の定義を世界で初めて提案

森田氏らは、 「皮膚病変が限局する尋常性乾癬において"局所療法効果不十分"の定義を世界で初めて提案した。 また、 本研究は全身療法を考慮すべき患者に関する昨今のエビデンスを補強するものと考える」 と考察している。


<出典>
1) J Am Acad Dermatol. 2020 Jan;82(1):117-122.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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