海外ジャーナルクラブ
13日前
名古屋市立大学皮膚科教授の森田明理氏らは、 皮膚病変が限局する尋常性乾癬における全身療法の適応や、 局所療法効果不十分の定義に関するコンセンサスの形成を行った。 本研究は、 J Dermatol誌にて発表された。 "局所療法効果不十分"の定義に関する提案は世界初となるという。
Delphi法は、 最近よく用いられるエキスパートコンセンサスを体系化する方法です。 10段階でパネルメンバーが投票して、 それを繰り返しながら合意形成を行います。
皮疹が限局する尋常性乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であり、 特定の部位に病変がある場合、 QOLに大きな影響を及ぼす可能性がある。
一方、 尋常性乾癬に関する日本独自の診療ガイドラインはなく、 皮疹が限局する尋常性乾癬に関する全身療法の導入基準に関するコンセンサスは得られていない。
本研究は、 Delphi法を用いて、 皮疹が限局する尋常性乾癬*における全身療法の適応患者像および局所療法効果不十分の定義のコンセンサスを形成することを目的とした。
コンセンサスの形成には、 乾癬専門医かつ診療経験5年以上の医師が参加した。
研究目的に関連する文献から13のステートメントを精選し、 Round 1では45人の医師が各ステートメントに対し10段階のリッカート尺度*¹を用いて同意の度合いを示した。
Round 1の結果を検討し、 必要に応じてRound 2でステートメントを精選した。 Round2では41人の医師が参加し、 各ステートメントに対するパネリストの同意を3段階評価*²で示した。
皮疹が限局する尋常性乾癬における全身療法の適応患者像、 および局所療法効果不十分の定義のコンセンサスは以下のように形成された。
以下の患者は全身療法を検討すべきである (Strong consensus)
以下の場合は局所療法の効果が不十分であると判断し、 全身療法を検討すべきである (Good consensus)
森田氏らは、 「皮膚病変が限局する尋常性乾癬において"局所療法効果不十分"の定義を世界で初めて提案した。 また、 本研究は全身療法を考慮すべき患者に関する昨今のエビデンスを補強するものと考える」 と考察している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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