【WJOG】ESMO2025発表報告 : WJOG14220B(AGAIN) / WJOG14921B(LUNAR)
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西日本がん研究機構(WJOG)

3ヶ月前

【WJOG】ESMO2025発表報告 : WJOG14220B(AGAIN) / WJOG14921B(LUNAR)

西日本がん研究機構 (WJOG) では、 現在多数の医師主導臨床研究を実施しています。 本記事では、 今年 (2025年) 10月にドイツ・ベルリンで開催された欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) で発表された2つの臨床研究について、 発表者でがん研有明病院乳腺センターの西村明子先生、 尾崎由記範先生からそれぞれご紹介いただきます。

WJOG14220B(AGAIN)試験

西村 明子 (がん研有明病院乳腺センター)

アベマシクリブのrechallengeを世界で初めて前向きに探索

CDK4/6阻害薬アベマシクリブ (ABE) 投与後のHR陽性HER2陰性転移再発乳癌に対するABEのre-challenge試験であるWJOG14220B(AGAIN)試験の結果について、 今回ESMO 2025で発表しました。

postMONARCH試験では、 CDK4/6阻害薬と内分泌療法で病勢増悪後のHR陽性HER2陰性進行乳癌を対象にABEとフルベストラント (FUL) 併用療法を実施した結果、 無増悪生存期間 (PFS) 中央値が6.0ヵ月でした¹⁾。 しかし、 postMONARCH試験では前治療のCDK4/6阻害薬がABEであった割合はわずか8%であり、 ABEのrechallengeについてはこれまで前向きに検討された報告はありませんでした。

rechallengeとしてABE+FULは治療選択肢の一つに

WJOG14220B(AGAIN)試験では、 ABEと内分泌療法で病勢増悪後に、 内分泌療法を変更してABEを継続する65例が登録。 そのうち28例がアロマターゼ阻害薬 (AI) またはタモキシフェン (TAM) からFULにスイッチされ、 36例がFULからAIにスイッチされました。 主要評価項目はPFS中央値で、 90%信頼区間(CI)下限が閾値3.0ヵ月を上回った場合に有効とされました。

その結果、 PFS中央値は4.2ヵ月(90%CI 2.8-4.4ヵ月)であり、 90%CI下限は3.0ヵ月に到達しませんでした。 サブグループ解析では、 ABE+AI/TAMからABE+FULにスイッチした場合のPFS中央値は7.1ヵ月 (95%CI 3.9-11.3ヵ月)、 ABE+FULからABE+AIにスイッチした場合のPFS中央値は2.8ヵ月 (95%CI 1.9-4.2ヵ月) でした。 主な有害事象 (全Grade) の発現は、 好中球減少 (40.6%)、 貧血 (21.9%)、 下痢 (21.9%) などであり、 Grade 3の発熱性好中球減少症が3.1%に認められました。

本試験はABEのrechallengeを前向きに行った世界で初めての試験であり、 サンプルサイズは少ないものの、 ABE+AI/TAMで病勢増悪後のABE+FULは、 治療選択肢の一つになり得ると考えられます。

参考文献)

  1. Kalinsky K, et al. J Clin Oncol. 2025; 43(9): 1101-1112.
【WJOG】ESMO2025発表報告 : WJOG14220B(AGAIN) / WJOG14921B(LUNAR)
WJOG14220B/AGAIN試験のポスター発表前にて(西村氏)

WJOG14921B(LUNAR)試験

尾崎 由記範 (がん研有明病院乳腺センター)

内分泌療法中の不眠症へのレンボレキサントの前向きエビデンスを初報告

不眠症を有する乳癌患者さんに対するレンボレキサントの効果を評価した前向き観察研究 (WJOG14921B、 LUNAR study)についてESMO 2025にて報告させていただきました。

本研究は、 乳癌患者に併存する不眠症に対し、 オレキシン受容体拮抗薬であるレンボレキサント (商品名デエビゴ) の効果を前向きに評価した、 多施設共同観察研究です。 癌患者では30~95%に不眠が認められ、 特に内分泌療法を受ける乳癌患者では頻度が最も高いことが報告されています。 不眠は生活の質や疲労、 日中の倦怠感の悪化と関連し、 早期介入の重要性が指摘されています。 一方、 レンボレキサントは不眠症治療薬として広く使用されているものの、 乳癌患者を対象とした前向きデータは存在しませんでした。

特に中等度~重度不眠で大きな改善

本研究では周術期乳癌と転移再発乳癌の2コホートで構成され、 レンボレキサント5 mgを基本用量として3ヵ月間観察しました。 2022年9月~2024年7月に59例が登録され、 主要評価項目は周術期乳癌コホートにおける1ヵ月後のInsomnia Severity Index (ISI) 変化量としました。

結果として、 ISIは1か月で平均-5.08と中等度の改善を示し、 特にベースラインISI 15以上の中等度~重度不眠ではより大きな改善がみられました。 2週目以降、 ISI ≦9 (臨床的に不眠とみなされない水準) に到達した患者は約6割に達しました。 安全性は良好で、 多くが軽度~中等度であり、 新たな懸念は確認されませんでした。

今後は自覚症状と客観的睡眠指標との相関や血液学的バイオマーカー解析も予定

本研究は、 乳癌内分泌療法中の不眠症に対するレンボレキサントの前向きエビデンスとして初めての報告です。 今後、 研究中に装着していたOura Ringデータを用いて、 自覚症状と客観的睡眠指標との相関を評価し、 また血液学的バイオマーカー解析を行い、 不眠と免疫状態に関する解析を行う予定です。

【WJOG】ESMO2025発表報告 : WJOG14220B(AGAIN) / WJOG14921B(LUNAR)
WJOG14921B /LUNAR試験のポスター発表の前にて、 左から昭和医科大学・酒井瞳先生、 筆者、 国立がん研究センター東病院・船坂知華子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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