糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6% (医師1429人アンケート)
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HOKUTO通信

1年前

糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6% (医師1429人アンケート)

糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6%  (医師1429人アンケート)
糖尿病の新たな呼称案 「ダイアベティス 」 について、 医師の7割以上が反対する一方、 賛成は1割に満たないことが、 HOKUTOのアンケートで明らかとなった。

呼称案は9月22日、 日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が公表した。 「呼称変更には社会全体の合意形成が必要」 として、 今後、 1~2年をかけて患者や医療従事者から広く意見を募る。 正式に採用されれば、 「ダイアベティス (糖尿病)」 と新旧の呼称を併記して使用することも検討している。

反対7割超  糖尿病・代謝・内分泌内科も同じ傾向

アンケートは9月25日〜27日、 アプリ上で実施し、 ダイアベティスを新呼称案とすることに 「賛成」「反対」「どちらとも言えない」 の3択で尋ねた。 医師会員1429人から回答を得て、 賛成6% (90人) 、 反対73% (1043人) となった。 「どちらとも言えない」 は21% (296人) だった。

診療科別でもほぼ同様の傾向で、 糖尿病・代謝・内分泌内科の医師は賛成6%、 反対76%、 「どちらとも言えない」 は19%だった。

患者「だいあべ…?」 → 医師 「糖尿病です」

X (旧Twitter) の医師アカウントでも、 「ダイアベティスじゃ患者にも周囲にも伝わらないだろ…」 「糖尿病は変える必要あるけど、 少なくともダイアベティスは浸透しない」 など慎重なコメントが多い。

ほかには、 「ダイアベティスの英語表記diabetesは、 発音がそもそも違う」 との指摘もあった。

糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6%  (医師1429人アンケート)

医師アカウントではないが、 診断の際に 「結局は過去の呼称に戻りそうな気がする」 との声も。

医師「ダイアベティスですね」
患者「ダイアベンベスト...」
医師「いや、 ダイア   ベティスです」
患者「ダイアペティン...」
医師「いわゆる、 糖尿病です」

HOKUTO医師会員の意見

HOKUTO編集部にも、 医師会員から様々な意見が寄せられた。

「糖質代謝異常症とかじゃダメですかね」
「自己免疫性内分泌膵炎などはどうですか?」
「ちょっと何言ってるかよくわからないです」
「言い辛い。 高血糖症でいいのでは」
「発音通りがいいなあ……」

学会と協会の狙い

学会と協会の狙いは、 糖尿病への偏見や誤解 (スティグマ) をなくすことだ。 協会が2021~22年に実施したアンケートでは、 回答した患者約1100人のうち、 約9割が 「尿」 がつく病名に不快感や抵抗感を持っていた。 さらに疾病の実態を正確に表す言葉に病名を変更するよう希望する人が8割に上ったという。

協会によると、 怠惰な生活をしていると周囲に誤解されたり、 就職などで不利益を被ったりするケースもある。 そういった偏見を恐れ、 同僚や家族に糖尿病のことを言わず、 医師の診察時に隠す人もいるという

こういった中、 学会と協会のワーキンググループ (WG) では、 新たな呼称に求められる要件として、 ▽学術的観点から正しい ▽国際的に受け入れられる ーーなどの5つを挙げた。

糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6%  (医師1429人アンケート)
合同メディアセミナーの資料より引用

この要件に照らし、 WGでは、 ヨーロッパ語族の表記を基盤としたカタカナ呼称(ダイアベティス、 など)、 英語表記を基盤とした英語の略記による呼称(DMSなど)、 病態の正しい解釈に即した漢字表記を含む呼称(糖代謝症候群など)を候補として検討した。

糖尿病の新呼称案 「ダイアベティス」 賛成わずか6%  (医師1429人アンケート)
合同メディアセミナーの資料より引用

結果、 国際的な受け入れられやすさや、 学術的な正しさなどの理由で 「ダイアベティス」 に決まったという。

「病名変更」 ではない理由

正式な病名変更は、 厚生労働省などに報告し、 行政文書の変更などを求める必要がある。 過去の例では痴呆症が認知症に、 精神分裂病が統合失調症に、 それぞれ変更された。

ただ、 10年前後の時間がかかる。 今回は、 そういった手続きが必要なく、 今後の啓発活動などですぐ使っていけるように新呼称案とした。 将来的には病名自体の変更も視野に入れているという。

糖尿病はかつて、 「蜜尿病 」 との呼称もあったが、 1907年、 日本内科学会が糖尿病の病名を定めた。 当時は尿に糖が出る病気とされていたが、 今は患者の尿に糖が混じるとは限らないことが分かっている。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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