HOKUTO編集部
4ヶ月前
解説 : 赤松弘朗先生¹⁾ / 監修 : 津谷康大先生²⁾
1. 本結果をもって、オシメルチニブを導入
2. 今後、 OS追跡結果を確認し、 再検討したい
3. 今後、 オシメルチニブは導入しない
4. ケースバイケースで判断する
アンケート結果:HOKUTO医師会員311人
2024年6月24日~7月1日に、 呼吸器内科・呼吸器外科・腫瘍内科のHOKUTO医師会員を対象に上記のアンケートを実施しました。 その結果、 「1. 本結果を基に、オシメルチニブを導入する」 の回答者は155人 (50%) に上りました。
切除不能Ⅲ期EGFR陽性NSCLCへのCRT後のオシメルチニブ (病勢増悪まで継続) とプラセボを比較した第Ⅲ相試験LAURAが行われた。
主要評価項目はRECIST v1.1に基づく無増悪生存期間 (PFS) であった。
PFS中央値
オシメルチニブ群で増悪リスクは84%低減した
- オシメルチニブ群 : 39ヵ月(95%CI 31.5-NC)
- プラセボ群 : 5.6ヵ月 (同3.7-7.4ヵ月)
HR 0.16 (95%CI 0.10-0.24)、 p<0.001
PFS率 (12ヵ月時、 24ヵ月時)
- オシメルチニブ群:74%、65%
- プラセボ群 :22%、13%
OS率 (36ヵ月時)
今回はOS率 (36ヵ月時) の中間解析の結果が報告され、 maturiyは20% (オシメルチニブ群20%、 プラセボ群21%) とimmatureな状態だった。
- オシメルチニブ群 : 84% (95%CI 75-89)
- プラセボ群 : 74% (同57-85%)
HR 0.81 (95%CI 0.42-1.56、 p=0.530)
プラセボ群では、 BICR評価で増悪が認められた患者の81%がオシメルチニブ群にクロスオーバーしていた。
放射線肺炎
最も多かった有害事象は放射線肺炎で、 オシメルチニブでやや多い結果となった。
- オシメルチニブ群 : 48%
- プラセボ群 : 38%
Grade 3以上の放射線肺炎
オシメルチニブ群で2%と忍容可能であった。
間質性肺疾患
オシメルチニブ群で8%に発生したが、 多くはGrade1/2であった。
治療関連死
1%未満であった。
根治を目指す化学放射線治療 (CRT) に対して、 期間を定めないオシメルチニブという治療概念を持ち込んだ革新的な試験デザインだが、 それゆえに現時点では判断が難しい。
「CRTのみで根治している患者にもオシメルチニブを投与してしまうデメリット」 と 「 (プラセボ群を見る限り) CRTを行っても高率に再発しており、 であれば早めにオシメルチニブを開始した方が患者にとってはメリットが大きい」という判断の間で臨床医は揺れると思われる。
また、 クロスオーバーが81%と高率になされている事で、 現時点のOSに大きな差がないことも重要なポイントと思われる。
LAURA試験の結果を見ると、 根治的CRTを施行したにも関わらずプラセボ群のPFSは中央値5.6ヵ月と極めて不良であり、 CRTのみではほぼ根治は望めないと考える。
根治とは治療終了後、 無治療で生存が保てている状態と考えると、 オシメルチニブを病勢増悪まで継続するデザインでは決して根治の状態にはならない。
以上より、 根治を目指す治療としてCRTのみでは不十分であるためオシメルチニブを投与すべきであると考え、 1を選択したいが、 増悪まで投与することには疑問である。
根治を目指すという意味では、 CRT後にオシメルチニブを増悪まで投与するよりも完全切除後にオシメルチニブを3年間投与する方が望ましいと思われるので、 根治CRTを選択する前には是非外科医に本当に切除不能かどうかを確認してもらいたい。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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