★医師コメント追加★ 【CM 067最終解析】進行悪性黒色腫へのNIVO+IPI、 10年OS率は43%
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HOKUTO編集部

1ヶ月前

★医師コメント追加★ 【CM 067最終解析】進行悪性黒色腫へのNIVO+IPI、 10年OS率は43%

★医師コメント追加★ 【CM 067最終解析】進行悪性黒色腫へのNIVO+IPI、 10年OS率は43%
切除不能または転移性悪性黒色腫の1次治療において、 抗PD-1抗体ニボルマブ+抗CTLA-4抗体イピリムマブ (NIVO+IPI) 併用療法およびニボルマブ単剤療法の有効性を、 イピリムマブ単剤療法を対照に比較検討した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験CheckMate 067の10年超の長期成績の結果、 NIVO+IPIとNIVO単剤は10年時も持続的なOSの改善傾向を示した。 英・The Royal Marsden HospitalのJames Larkin氏が発表した。 同詳細はN Engl J Med. 2024年9月15日オンライン版に掲載された。

背景

既報の結果から、 6.5年時の生存ベネフィットは証明済

CheckMate 067試験では、 NIVO+IPI併用療法とニボルマブ単剤療法がイピリムマブ単剤療法と比較し、 最短追跡期間6.5年の時点で持続的な臨床的有用性を示すことが既に報告されており¹⁾、 同併用療法は既に国内でも承認されている。 今回、 同試験において、 最短追跡期間10年の最終解析結果が報告された。

試験の概要

対象は未治療の進行悪性黒色腫

前治療歴のない切除不能または転移性の悪性黒色腫患者945例を対象とした。

患者は以下の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • NIVO+IPI群 : 314例
ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週毎に4回投与後、 ニボルマブ3mg/kgを2週毎に投与
  • NIVO群 : 316例
ニボルマブ3mg/kgを2週毎+プラセボを投与
  • IPI群 : 315例
イピリムマブ3mg/kgを3週毎に4回+プラセボを投与

主要評価項目はPFSとOS

主要評価は無増悪生存期間 (PFS) およびOSだった。

副次的評価項目には客観的奏効率 (ORR)、 NIVO+IPI群 vs NIVO群の記述的有効性評価、 安全性が含まれた。 また、 悪性黒色腫特異的生存率 (MSS) も評価された。

試験の結果

今回は、 2024年4月19日をデータカットオフとした最短追跡期間120ヵ月の最終解析結果より、 OS、 MSS、 安全性の評価が報告された。

併用群のOS中央値は71.9ヵ月、 死亡リスクを47%低減

OS中央値 (95%CI) は以下のとおりだった。

  • NIVO+IPI群 : 71.9ヵ月 (38.2-114.4ヵ月)
  • NIVO群       : 36.9ヵ月 (28.2-58.7ヵ月)
  • IPI群           : 19.9ヵ月 (16.8-24.6ヵ月)

ハザード比 (HR、 95%CI) は以下の通りで、 10年時においても、 NIVO+IPI群およびNIVO群は有意かつ持続的なOSにおける有効性を示した。

  • NIVO+IPI群 vs IPI群      : 0.53 (0.44-0.65)
  • NIVO群 vs IPI群            : 0.63 (0.52-0.76) 
  • NIVO+IPI群 vs NIVO群 : 0.85 (0.69-1.05)

上記の優位性は、 BRAF変異やPD-L1発現の状況にかかわらず一貫して認められた。

OS率は以下の通りだった。

(NIVO+IPI群 / NIVO群 / IPI群の順に記載)
  • 36ヵ月時 : 58% / 51% / 34%
  • 60ヵ月時 : 52% / 44% / 26%
  • 90ヵ月時 : 47% / 41% / 22%
  • 120ヵ月時 : 43% / 37% / 19%

なお、 3年時PFS患者の120ヵ月OS率はそれぞれ、 86% / 85% / 79%だった。

MSS中央値は併用群で未到達

MSS中央値 (95%CI ) は以下のとおりで、 NIVO +IPI群およびNIVO群はIPI群に比べ、 MSSの数値的延長を示した。

  • NIVO+IPI群 : NR (71.8ヵ月-NR)
  • NIVO群       : 49.4ヵ月 (35.1-119.4ヵ月)
  • IPI群           : 21.9ヵ月 (18.1-27.4ヵ月)

HR (95%CI) は以下の通りだった。

  • NIVO+IPI群 vs IPI群      : 0.48  (0.39-0.59)
  • NIVO群 vs IPI群            : 0.59  (0.49-0.73)
  • NIVO+IPI群 vs NIVO群 : 0.81  (0.64-1.01) 

MSS率は以下の通りだった。

(NIVO+IPI群 / NIVO群 / IPI群の順に記載)
  • 36ヵ月時 : 63% / 55% / 36%
  • 60ヵ月時 : 57% / 49% / 30%
  • 90ヵ月時 : 55% / 47% / 26%
  • 120ヵ月時 : 52% / 44% / 23%

また、 3年時PFS患者の10年MSS率はそれぞれ97% / 96% / 88%で、 80%以上の腫瘍縮小が認められた患者の10年MSS率はそれぞれ87% / 88% / 80%だった。

新たな安全性シグナルは検出されず

NIVO+IPI群の36%、 NIVO群の50%、 IPI群の67%が後治療として全身治療を受けた。

Grade3~4の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は63% / 25% / 30%、 治療中止に至ったTRAE発現率は45% / 16% / 17%だった。 なお、 Grade3~4のTRAEを発現した集団の10年MSS率は、 ITT集団と比較し高かった。

結論

NIVO+IPIの有用性を引き続き支持

Larkin氏は 「CheckMate 067試験の最短追跡期間10年の最終解析結果より、 進行悪性黒色腫患者の1次治療において、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法とニボルマブ単剤療法は、 イピリムマブ単剤療法と比較し、 持続的な長期生存ベネフィットが認められた。 特に、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法では、 あらゆる腫瘍型に対する抗PD-1抗体の第Ⅲ相試験において、 最も長いOS中央値を示した。 この結果は、 免疫チェックポイント阻害薬2剤併用療法による進行悪性黒色腫の長期予後改善効果を強調するものである」 と報告した。

出典

¹⁾ J Clin Oncol. 2022 Jan 10;40(2):127-137.

追記 : 進行悪性黒色腫でも治癒が期待できる時代に

本発表に関して、 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科長 山﨑 直也先生にご解説いただきました。

10年前の1年生存率25%に比べ、 予後を大きく改善

CheckMate 067試験は、 抗PD-1抗体単剤および抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体併用 (複合免疫療法) の治療成績を最も長期にわたりアップデートしている臨床試験です。

ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群の10年生存率は43%、 全生存期間 (OS) の中央値は71.9ヵ月 (95%CI 38.2-114.4ヵ月) でした。 10年前はこの患者集団における1年生存率は約25%であったことを考えると、 同併用療法による予後の改善は明らかです。 また同試験でのニボルマブ単剤療法群のOS中央値は、 36.9ヵ月 (同28.2-58.7ヵ月) でした。

投与開始3年以降はtail effectに

さらに、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群に割り付けられた患者の64%はその後の全身治療を受けていないことがわかっています。

ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、 投与開始3年後以降はtail effectと呼ばれる安定した生存曲線を保っています。

日本人ではirAEが強いが、 総合的には長期に良好な効果を持続

ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、 日本人にとって、 irAEと呼ばれる免疫に関連した副作用が非常に強い治療法ですが、 CheckMate 067試験の結果を総合的に考えると、 この併用療法は長期にわたって継続して良好な臨床効果を示しており、 進行悪性黒色腫でも治癒が期待できる時代になったこを示しています。

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