【解説】再発前立腺癌に対するFocal Therapy、 位置付けは変わるか
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HOKUTO編集部

3日前

【解説】再発前立腺癌に対するFocal Therapy、 位置付けは変わるか

【解説】再発前立腺癌に対するFocal Therapy、 位置付けは変わるか
泌尿器科医と腫瘍内科医に、注目論文を解説いただく連載です。今回は田代康次郎先生 (厚木市立病院泌尿器科部長) に、 再発前立腺癌に対するFocal Therapyに関する論文を紹介いただきました。 

今回の注目論文

Salvage Focal Therapy vs Radical Prostatectomy for Localized Radiorecurrent Prostate Cancer

JAMA Oncol. 2026 Apr 1;12(4):364-373.

概要

放射線療法後に再発した前立腺癌の生存率は低いが、 前立腺内に限局する場合は救済局所療法 (sFT) または救済前立腺全摘術 (sRP) が選択される。 しかし、 sFTの5年超の成績は報告されておらず、 両者を直接比較した研究もない。

sFT : salvage focal therapy、 sRP : salvage radical prostatectomy

本研究は、 英国の前向きレジストリ・試験および国際レジストリを用いた多施設コホート研究のマッチド比較解析である。 放射線療法後に前立腺内再発を来した923例 (sFT 419例、 sRP 504例) が対象となった。 主要評価項目は癌特異的生存 (CSS)、 副次評価項目は全生存 (OS)、 周術期合併症および重大合併症*とした。

*周術期合併症 : Clavien-Dindo分類1~5、 重大合併症 : Clavien-Dindo分類3~5

主な結果

sFT群の77.6%がHIFU*、 残りが凍結療法であり、 57.5%が四分象アブレーションを受けた。 また、 sRP群の74.6%が開腹手術であり、残りがロボット支援手術であった。

*高密度焦点式超音波治療

10年CSS・OS

10年時点のCSS、 OSは、 ともに両群間で有意差は認められなかった。

【解説】再発前立腺癌に対するFocal Therapy、 位置付けは変わるか

周術期合併症

sRPはsFTと比較して、 周術期合併症のリスク、 重大合併症のリスクともに有意に増加した。

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エキスパートの視点

sFTの位置付けを再評価した研究

本論文は、 放射線治療後に前立腺内へ再発した症例に対して、 sFTを 「負担の軽い治療」 ではなく、 「より確実に治療効果を期待して選ぶべき救済治療」 として位置付けています。 これまで放射線治療後の再発症例にはsRPが有力な選択肢でしたが、 照射後の手術は難易度が高く、 尿失禁や吻合部狭窄、 直腸損傷などの合併症が避けて通れませんでした。

本研究では、 sFTとsRPの間で長期の癌特異的生存や全生存に大きな差はみられない一方、 合併症はsRPで明らかに多く、 sFTでは 「しっかり治すこと」 と 「治療後の負担を抑えること」 を両立できる可能性を示しました。 これは、 放射線後に再発した前立腺癌に対する治療の考え方を一段進めたデータと考えます。

検査の進歩でsFTが有力な選択肢へ

本論文でsFTとして実際に行われていたのは、 主にHIFUと凍結療法です。 sFT群では419例のうち325例がHIFU、 残りが凍結療法で、 さらに半数以上が四分象アブレーションでした。

強調すべきは、 「sFTの本質は"手術より楽そう"ということではない」 という点です。 本質は、 MRIや各種画像検査、 生検によって、 再発した病変の場所と広がりを以前より正確に捉え、 その病変を狙って治療できるようになってきたことにあります。 つまり、 sFTの可能性とは 「新しい機械が出てきた」 ことではなく、 「再発病変を丁寧に見極めたうえで、 必要な範囲だけを治療することが現実的になってきた」 ということです。

今後の鍵は、 どのような病変分布、 腫瘍体積、 Grade、 画像所見、 生検所見の症例が、 この治療に最も向いているかを見極めていくことだと考えます。 もちろん、 この研究だけで 「今後はsFTがsRPに置き換わる」 とまでは言えませんが、 症例を適切に選べば、 局所治療で長期コントロールを目指しつつ治療の負担も抑えられることを示唆しました。 sFTは患者ごとに最適な救済治療を考えるための有力な選択肢と考えられる報告です。

sFTの臨床応用を裏付ける研究

関連論文として、 東海大学腎泌尿器科の小路直先生らによるsFTとしてのHIFUの前向き多施設研究を紹介します¹⁾。 術中の前立腺圧迫を併用したHIFUを用いた240例の解析です。

対象はPSA 20ng/mL以下で、 MRI融合生検と12コア系統的生検により片葉または上下半分に臨床的に意義のある癌を確認した症例で、 追跡期間の中央値は48ヵ月でした。

単回治療後の生化学的/病理学的無再発生存率は低・中・高リスク群でいずれも良好で、 さらに排尿機能/性機能は治療1ヵ月後に一時低下するものの、 3~6ヵ月で術前レベルへ回復したと報告されています。

HIFUによるsFTで日本発のまとまった前向きデータとして、 今回の論文と並べて読む価値が高いと思います。

【解説】再発前立腺癌に対するFocal Therapy、 位置付けは変わるか

<出典>

1) Prostate Cancer Prostatic Dis. 2025 Sep;28(3):782-788.

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【JAMA Oncol】局所再発前立腺癌、 sRPは合併症リスク24倍でsFT優位

海外ジャーナルクラブ : JAMA Oncol. 2026 Apr 1;12(4):364-373.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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