海外ジャーナルクラブ
1年前
Carvalhoらは、 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSA) の高齢者を対象に、 深い睡眠と脳卒中、 アルツハイマー病、 認知機能低下のリスク増加につながる脳血管疾患 (CVD) バイオマーカーとの関連を横断研究で検討。 その結果、 徐波睡眠の減少と重度のOSAが、 主に認知障害のない高齢者における白質の損傷と関連し、 それが認知障害、 認知症、 脳卒中のリスク増加に寄与する可能性があることが示唆された。 本研究は、 Neurology誌において発表された。
N=140程度の後ろ向き解析で、 波形、 画像、 バイオマーカーを組み合わせて検討しています。 この研究デザインは本邦の多くの大学病院など機関施設が最も得意とする形です (たまに得意であることに気付いていないことがあります) ので、 内容と共にデザインまで着目すると良いと思います。
少なくとも1回の脳MRIとPSGを受けたことのある認知症のない高齢者。
FLAIR-MRIによる白質高濃度 (WMH) と拡散MRIによる脳梁の分数異方性 (genu FA) の2つのCVDバイオマーカーを定量化し、 それらとPSGパラメータの関連を評価。
年齢 (MRI時)、 性別、 APOε4の状態、 複合心血管・代謝状態 (CMC) スコア、 レム期割合、 睡眠時間、 MRIとPSGの間隔を調整しながら、 PSGパラメータとCVDバイオマーカーのそれぞれの関連について線形モデルをあてはめて評価。
N3%が10ポイント減少するごとに、 WMHの対数が0.058 (95%CI 0.006-0.111、 P=0.030) 増加し、 genu FA対数が0.006減少 (95%CI -0.012--0.0002、 P=0.042) した。
年齢、 性別、 N3%によるマッチング後の解析では、 軽度/中等度OSAの参加者と比較して、 重度のOSAの参加者は、 WMHが高く、 genu FAが低かった。
WMH中央値 (IQR)
genu FA中央値 (IQR)
徐波睡眠の減少と重度のOSAが、 主に認知障害のない高齢者における白質の損傷と関連し、 それが認知障害、 認知症、 脳卒中のリスク増加に寄与する可能性が示された。 本研究は、 睡眠の深さ/分断と間欠的低酸素とCVDバイオマーカーとの関連を支持するものである。 因果関係を評価するためには、 縦断的な研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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