【Lancet】複雑性虫垂炎に対する抗菌薬、2日投与が5日投与に非劣性
著者

海外ジャーナルクラブ

2年前

【Lancet】複雑性虫垂炎に対する抗菌薬、2日投与が5日投与に非劣性

【Lancet】複雑性虫垂炎に対する抗菌薬、2日投与が5日投与に非劣性
de Wijkersloothらは、 8歳以上の複雑虫垂炎患者を対象に、 術後抗菌薬の2日投与と5日投与の効果を非盲検非劣性試験で比較。 その結果、 術後2日間の抗菌薬投与は、 感染性合併症と90日以内の死亡率の点で5日間投与より非劣性であることが明らかとなった。 本研究は、 Lancet誌において発表された。

📘原著論文

2 days versus 5 days of postoperative antibiotics for complex appendicitis: a pragmatic, open-label, multicentre, non-inferiority randomised trial. Lancet. 2023 Jan 17;S0140-6736(22)02588-0.PMID: 36669519

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Abstractには本文の結論にはない次の記載があります。 "These findings apply to laparoscopic appendicectomy conducted in a well resourced health-care setting". これは本研究成果を実臨床に応用する際に注意喚起を促しています。 このようにabstractと本文の結論を比較してみてみるのも面白いです。

🔢関連コンテンツ

Alvaradoスコア (MANTRELS)

急性虫垂炎の診断予測

Pediatrics Appendicitis score (PAS)

小児急性虫垂炎の診断予測

背景

複雑性虫垂炎に対する術後抗菌薬の適切な投与期間は不明である。 世界的に抗菌薬耐性の脅威が高まっていることから、 抗菌薬の使用を制限することは、 副作用、 入院期間、 コストを削減するためにも重要である。

研究デザイン

対象

8歳以上の複雑虫垂炎患者を対象に、 虫垂切除術後に抗菌薬の静脈内投与を2日間または5日間実施するよう1:1の割合で無作為に割り付けた。

主要エンドポイント

感染性合併症と90日以内の死亡の複合エンドポイント。

主要評価項目

年齢と虫垂炎の重症度を調整した主要エンドポイントの絶対リスク差 (95%CI) とし、 非劣性マージンは7.5%とした。

研究結果

主要エンドポイント

2日目投与群:10% (502名中51名)

5日目投与群:8% (503名中41名)

調整絶対リスク差 2.0%、 95%CI -1.6-5.6

合併症と再介入の割合

試験群間で同様。

抗菌薬の副作用

2日間投与群:9% (502名中45名)

5日間投与群:22% (503名中112名)

OR 0.344、 95%CI 0.237-0.498

再入院の頻度

2日間投与群:12% (502名中58名)

5日間投与群:6% (503名中29名)

OR 2.135、 1.342-3.396

治療に関連した死亡

治療に関連した死亡はなかった。

結果の解釈

複雑性虫垂炎に対する術後2日間の抗生剤静注は、 感染性合併症と90日以内の死亡率の点で5日間より非劣性である。 これらの知見は、 十分な資源がある医療環境で実施される腹腔鏡下虫垂切除術に適用される。 抗生物質の副作用や入院期間の短縮が期待できる。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【Lancet】複雑性虫垂炎に対する抗菌薬、2日投与が5日投与に非劣性