海外ジャーナルクラブ
2年前
de Wijkersloothらは、 8歳以上の複雑虫垂炎患者を対象に、 術後抗菌薬の2日投与と5日投与の効果を非盲検非劣性試験で比較。 その結果、 術後2日間の抗菌薬投与は、 感染性合併症と90日以内の死亡率の点で5日間投与より非劣性であることが明らかとなった。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
Abstractには本文の結論にはない次の記載があります。 "These findings apply to laparoscopic appendicectomy conducted in a well resourced health-care setting". これは本研究成果を実臨床に応用する際に注意喚起を促しています。 このようにabstractと本文の結論を比較してみてみるのも面白いです。
Pediatrics Appendicitis score (PAS)
複雑性虫垂炎に対する術後抗菌薬の適切な投与期間は不明である。 世界的に抗菌薬耐性の脅威が高まっていることから、 抗菌薬の使用を制限することは、 副作用、 入院期間、 コストを削減するためにも重要である。
8歳以上の複雑虫垂炎患者を対象に、 虫垂切除術後に抗菌薬の静脈内投与を2日間または5日間実施するよう1:1の割合で無作為に割り付けた。
感染性合併症と90日以内の死亡の複合エンドポイント。
年齢と虫垂炎の重症度を調整した主要エンドポイントの絶対リスク差 (95%CI) とし、 非劣性マージンは7.5%とした。
2日目投与群:10% (502名中51名)
5日目投与群:8% (503名中41名)
試験群間で同様。
2日間投与群:9% (502名中45名)
5日間投与群:22% (503名中112名)
2日間投与群:12% (502名中58名)
5日間投与群:6% (503名中29名)
治療に関連した死亡はなかった。
複雑性虫垂炎に対する術後2日間の抗生剤静注は、 感染性合併症と90日以内の死亡率の点で5日間より非劣性である。 これらの知見は、 十分な資源がある医療環境で実施される腹腔鏡下虫垂切除術に適用される。 抗生物質の副作用や入院期間の短縮が期待できる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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