海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Zhangらは、 中間期乳癌 (IntCa) の発生率および危険因子を地域住民対象コホート研究で検討した。 その結果、 乳癌全体の約30%がIntCaであり、 初産年齢の高齢化、 高教育水準、 ホルモン補充療法、 高濃度乳腺、 家族歴などがIntCaの危険因子として特定された。 研究結果はJAMA Oncol誌に発表された。
中間期乳癌の割合はこの30年間、 30%と全く変わっていません。 そういう意味で、 何らかの介入の効果が結果として分かりやすい状況にあるといえます。
マンモグラフィは、 乳癌の早期発見と死亡率低減に有効であることが実証されている唯一のスクリーニングである。 しかし、 マンモグラフィで見落とされ、 検診と検診の間に検出される中間期乳癌 (IntCa) が多くみられ、 なかにはこの間に急速に増殖するものもある。
そこで、 IntCaおよび検診で検出される乳癌 (ScrCa) の発生率・割合を調査し、 IntCaの危険因子を特定することを目的として、 コホート研究が実施された。
研究の解析対象は、 1989~2020年にマンモグラフィを勧奨されたスウェーデン・ストックホルム在住の癌既往のない女性 (40~74歳) 52万7,144人であった。 また、 カロリンスカ・マンモグラフィ・プロジェクト (乳癌リスク予測研究) に参加しており、 マンモグラフィのデータが利用可能な女性も追加コホートとして含めた。
主な評価項目は、 IntCaおよびScrCaの発生率であった。
2万9,049例 (5.5%) が乳癌の診断を受け、 うち1万631例 (2.0%) がScrCa、 4,369例 (0.8%) がIntCaであった。 ScrCaおよびIntCaの発生率は期間中に増加した。
スクリーニングを受けた患者のうち、 IntCaの割合は約30%で、 年齢が上がるにつれて減少した。
IntCaの危険因子として、 初産年齢の高齢化、 教育水準の高さ、 ホルモン補充療法、 マンモグラフィでの高濃度乳腺などが挙げられた。
IntCaに対する家族性癌のリスク推定値は以下の通りであり、 中央値未満の年齢で診断を受けた近親者の数が多いほどリスクはさらに上昇した。
IntCa患者はScrCa患者と比べてエストロゲン受容体 (ER) 陰性乳癌である可能性が高く (22% vs 11%)、 ER陰性乳癌の家族歴があるとER陰性IntCaのリスクが3倍になった。
著者らは 「この結果は、 年齢に基づくスクリーニングによりIntCaの発生率が減少しておらず、 予後の改善には、 特定されたIntCaの危険因子に基づくスクリーニングの実施が必要であることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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