海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前

Louらは、 転移性消化管上皮癌の患者を対象に、 新たな細胞内免疫チェックポイントであるサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質 (CISH)*を標的とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法 (TIL療法) の安全性および抗腫瘍活性をヒト初の単施設第Ⅰ相試験で検討した。 その結果、 管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性が示され、 従来の免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性の進行転移癌患者に対する有益性が示唆された。 試験結果はLancet Oncol誌に発表された。
本研究の意義は、 次のコメントに端的に表れています。
"suggests the therapeutic potential of the treatment strategy as a whole."
過去10年間で、 主にPD-1/PD-L1を標的とする免疫療法は、 多くの固形癌の治療に変革をもたらしたが、 消化管癌患者ではその効果が限定的である。 現在のICIに対する抵抗性を克服しつつ、 より多くの患者に免疫療法の有効性を拡大することが急務である。
そこで、 ヒト初の単施設第Ⅰ相試験で、 転移性消化管上皮癌に対して、 新たな細胞内免疫チェックポイントであるサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質をコードする遺伝子 (CISH遺伝子) をCRISPR-Cas9でノックアウトした腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) 製剤 (CISH-KO-TIL) の安全性および抗腫瘍効果が検討された。
少なくとも1種類の標準1次治療後に病勢進行を認めた18-70歳の転移性消化管上皮癌があり、 以下を含む適格基準を満たした患者22例を対象とした。
腫瘍生検から得られたTILは新生抗原反応性に基づいて増幅、 CRISPR-Cas9でCISHがノックアウトされ、 骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法 (シクロホスファミド/フルダラビン) と高用量IL-2 (aldesleukin) 投与後に静脈内投与された。
主要評価項目は、 CISH-KO-TIL投与における安全性、 重要な副次評価項目は客観的奏効率 (ORR)、 無増悪生存期間 (PFS)、 および全生存期間 (OS) であった。
登録患者22例のうち1例は最初のTIL増幅が得られなかったため、 2回登録された。 10例が女性、 11例が男性で、 人種は1例がアジア系、 残りが白人であった (いずれも自己申告)。
19例 (86%) がCISH-KO-TILの製造に成功し、 そのうち12例 (63%) に投与された。
追跡期間中央値は129日 (IQR 15–283日) であった。
投与された12例の全例で重度の治療関連有害事象 (TRAE) が認められた。
最も一般的なGrade 3~4の有害事象は、 前処置としてのリンパ球除去化学療法レジメンまたはIL-2の予測される効果に起因する血液学的事象 (12例、 100%)、 倦怠感 (4例、 33%)、 食欲不振 (3例、 25%) などがあった。
試験期間中に死亡に至った有害事象は、 基礎疾患 (転移性消化管癌) および関連合併症 (10例)、 Grade 5の敗血症 (1例) であった。
Grade 3以上のサイトカイン放出症候群 (CRS) または神経毒性イベントは認められなかった。
12例中6例 (50%) は、 28日時点までに病状が安定し、 4例 (33%) は56日時点でも継続して安定していた。
抗PD1/CTLA-4療法に抵抗性のマイクロサテライト不安定性 (MSI-High) 大腸癌の若年成人患者1例は、 完全奏効 (CR) が21ヵ月以上継続していた。
著者らは 「この結果は、 新生抗原反応性のCISH-KO-TIL投与による免疫チェックポイントCISH阻害の安全性と抗腫瘍活性を裏付けるものであった。 従来のICIに抵抗性の進行転移癌患者に対する有益性が示唆され、 新たな細胞内チェックポイントを治療効果のある標的とすることができることを示した初めてのエビデンスとなった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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