海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Linらは、 大彎に浸潤を伴わない近位部局所進行胃癌患者を対象に、 腹腔鏡下での胃全摘術(D2)+脾温存脾門リンパ節郭清術(No.10)の有効性を無作為化比較試験Fuges-02の事後解析で検討した。 その結果、 No.10を併用したD2は、 近位部局所進行胃癌の予後を改善し、 再発率を低下し得ることが明らかとなった。 本研究は、 JAMA Surgeryにおいて発表された。
非常にクリアな解析結果ですが、 あくまでもRCTのpost hoc (2次) 解析結果であり、 仮説の提唱に過ぎません。 Abstractの結論にも予後を改善し得る、 と弱く書かれており、 今後の研究成果が待たれます。
大彎に浸潤を伴う近位部局所進行胃癌に対しては、 脾門部リンパ節切除術が推奨されている。 しかし大彎に浸潤を伴わない近位部局所進行胃癌に対しては、 腹腔鏡下での脾温存脾門リンパ節郭清術が長期的な生存利益と関連するかどうかは明らかでなかった。
大彎浸潤のない切除可能な近位部局所進行胃癌患者 : 526例
患者を以下の群に1 : 1で無作為に割り付けた。
5年無病生存率 (DFS) と全生存期間 (OS)
log-rank検定のp=0.04
log-rank検定のp=0.03
No.10リンパ節のTVIは6.5であり、 No.8a (TVI 3.0)、 No.11 (TVI 5.8)、 No.12a (TVI 0.8) を上回った。
HR 0.72 (95%CI 0.54-0.95、 p=0.02)
p=0.01
著者らは、 「本試験の事後解析により、 脾温存脾門リンパ節郭清術を併用した腹腔鏡下胃全摘術は、 大彎浸潤のない近位部局所進行胃癌の予後を改善し、 再発率を低下させることが示された。 これらの所見をさらに検証するためには、 今後の多施設共同研究が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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