乳がん再発予測スコア 「個別化医療進む」
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HOKUTO通信

8ヶ月前

乳がん再発予測スコア 「個別化医療進む」

乳がん再発予測スコア 「個別化医療進む」
乳がんの再発リスクを算出する遺伝子検査 「オンコタイプDX 乳がん再発スコア®プログラム」 が9月に保険適用されたことを受け、 筑波大乳腺内分泌外科准教授の坂東裕子氏は 「患者にとっても医師にとっても待ちに待った保険適用。 乳がんの個別化医療が一層進む」 との見解を示した。

公定価格は43.5万円

「オンコタイプDX 乳がん再発スコア®プログラム」 は、 ホルモン受容体陽性HER2陰性でリンパ節転移が無いか、 あっても3個以内の早期浸潤性乳癌患者の化学療法の必要性を判断することを補助するプログラム医療機器。エグザクトサイエンス(東京)が開発し、 9月1日付けで保険収載された。公定価格は43万5000円。

同プログラムは化学療法をするかどうか決めるために必要な3つの情報を得ることができる。 

  • 再発スコア® (RS)
  • 0〜100で数値化し、 0〜25であれば、 手術後9年以内の再発可能性が低く、 化学療法をしても再発・死亡リスクを下げることにつながらない。一方、 25〜100の場合は手術後9年以内の再発可能性が高く、 化学療法により再発・死亡リスクを下げることが出来る
  • 9年遠隔再発率 (予後予測)
  • 手術後、 標準的な5年間のホルモン療法 (アロマターゼ阻害剤またはタモキシフェン) を受けた場合、 9年以内に遠隔再発する確率を予測
  • 化学療法の上乗せ効果 (効果予測)
  • 標準的なホルモン療法に化学療法を加えた場合、 再発・死亡リスクをどの程度抑えられるかを予測

迷った場合に活用を、 SDMの一助に

乳がん再発予測スコア 「個別化医療進む」
筑波大乳腺内分泌外科准教授の坂東裕子氏

坂東氏は9月6日、 エグザクトサイエンス主催のメディアセミナーで、 「早期乳がん患者の化学療法は強い副作用がある一方、 効果があるか分からないまま手探りで治療選択をしているのが実情。 化学療法をするか迷う場合、 効果が得られる可能性が高い患者を特定するために非常に有効となる」 との見解を示した。

その上で、 「医師側も、 再発率などが数値化されることでより納得して治療法を提案できる。 保険適用で利用が増えれば、 患者と話し合って治療方針を決めるShared Decision Making (SDM、 共同意思決定) がより進むだろう」 と期待を込めた。

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参考文献

  1. 21-Gene Assay to Inform Chemotherapy Benefit in Node-Positive Breast Cancer. N Engl J Med. 2021 Dec 16;385(25):2336-2347. PMID: 34914339
  2. Clinical and Genomic Risk to Guide the Use of Adjuvant Therapy for Breast Cancer. N Engl J Med. 2019 Jun 20;380(25):2395-2405. PMID: 31157962

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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