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免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策のフローチャート
厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班劇症肝炎分科会および「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究」班により報告されたフローチャートが広く用いられている¹⁾. また、 本邦ガイドラインにおいて、 HBV-DNA定量の検出感度閾値は 20 IU/mL (1.3 LogIU/mL) と設定されている²⁾.
*血液悪性疾患に対する強力な免疫・抑制化学療法中あるいは終了後に HBs抗原陽性あるいは HBs抗原陰性例の一部にHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、 その中には劇症化する症例があり、 注意が必要である. その他の疾患においても治療によるHBV再活性化のリスクを考慮して対応する必要がある¹⁾.
注意事項¹⁾
- CLIA法で測定することが望ましい
- HBs抗原陽性例は肝臓専門医にコンサルトすること. 全ての症例で核酸アナログ投与にあたっては肝臓専門医にコンサルトするのが望ましい.
- 初回治療時にHBc抗体、 HBs抗体未測定の再治療例では抗体価が低下している場合があり、 HBV-DNA定量検 査などによる精査が望ましい.
- PCR法およびリアルタイム PCR法により実施する. より検出感度の高いリアルタイムPCR法が望ましい.
- リツキシマブ・ステロイド使用例、 造血細胞移植例はHBV再活性化の高リスクであり、 注意が必要である. フルダラビンは強力な免疫抑制作用を有するが、 HBV再活性化のリスクは不明であり、 今後注意が必要である.
- 免疫抑制・化学療法を開始する前、 できるだけ早期に投与を開始するのが望ましい.
- 免疫抑制・化学療法中はHBV-DNA定量検査が検出感度以上になった時点で直ちに投与を開始する.
- 核酸アナログはエンテカビルの使用を推奨する.
- 下記の条件を満たす場合には核酸アナログ投与の終了を検討して良い. スクリーニング時にHBs抗原(+)例ではB型慢性肝炎における核酸アナログ投与終了基準を満たす場合. スクリーニング時にHBc抗体(+) and/or HBs抗体(+) 例では、 (1)免疫抑制・化学療法終了後、 少なくとも12カ月間は投与を継続すること. (2)この継続期間中にALT (GPT) が正常化していること. (但しHBV以外にALT異常の原因がある場合は除く) (3)この継続期間中にHBV-DNAが持続陰性化していること.
- 核酸アナログ投与終了後 12カ月間は厳重に経過観察する. 経過観察方法は各核酸アナログの使用上の注意に基づく. 経過観察中にHBV-DNA定量検査が検出感度以上になった時点で直ちに投与を再開する.
参考文献
- 坪内博仁, 熊田博光, 清澤研道, et al. 免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策-厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班劇症 肝炎分科会および「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究」班合同報告-. 肝臓 2009;50:38-42.
- 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会編. B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版 2021年5月. 東京:日本肝臓学会, 2021
最終更新:2022年8月1日
HOKUTO編集部医師監修がガイドラインをもとに作成