海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前
Schmidt氏らは重症急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) で静脈脱血・静脈送血の体外式膜型人工肺 (VV-ECMO) 治療を受けている患者を対象に、 仰臥位療法と比較した腹臥位療法におけるECMO離脱成功までの期間短縮について、 無作為化並行群間比較試験PRONECMOを用いて検討した。 その結果、 両療法間で有意な差は認められなかった。 本研究はJAMA誌に掲載された。
アウトカム設定を60日、 90日以内と設定したところが本研究の大きな意味合いです。 最初の28日間くらいはProneの方が結果が良いわけですが、 その後2群間での差がなくなります。 またBMIにも着目で、 BMI<33の群では有意差はありませんがproneの方が良さそうな感もあり、 日本人における本研究結果の適応は慎重に考える必要がありそうです。
腹臥位療法は重症ARDS患者の転帰を改善する可能性が示唆されている。 しかし、 VV-ECMOを受けているARDS患者に対し、 仰臥位療法と比較した効果の程度は明らかにされていない。
ICUにてVV-ECMO施行48時間未満の18歳以上75歳未満の重症ARDS患者
170例を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
無作為化後60日以内のECMO離脱成功までの期間
ECMOおよび人工呼吸器の非装着日数、 ICU在室および入院期間、 褥瘡、 重篤な有害事象、 無作為化後90日時点の全死亡
腹臥位ECMO群 : 44%
仰臥位ECMO群 : 44%
群間リスク差 0.1%(95%CI -14.9-15.2%)、 サブ分布ハザード比 1.11(95%CI 0.71-1.75)、 p=0.64
無作為化後90日以内では、 いずれも有意差が認められなかった。
腹臥位療法中の重篤な有害事象は報告されなかった。
VV-ECMOを受療した重症ARDS患者において、 腹臥位療法は仰臥位療法と比較してECMO離脱成功までの時間を有意に短縮しなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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