HOKUTO編集部
19日前
骨転移を有するCRPCへの1次治療として、 抗アンドロゲン薬エンザルタミド+塩化ラジウム223 (²²³Ra) の併用療法の有効性と安全性についてエンザルタミド単剤療法を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験EORTC-GUCG 1333 / PEACE-3の結果より、 画像診断によるPFS(rPFS)が有意に改善した。 スイス・Istituto Oncologico della Svizzera ItalianaのS. Gillessen氏が発表した。
エンザルタミドは、 アンドロゲン除去療法 (ADT) 後に進行した転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC) の1次標準治療の選択肢の1つである。 しかし、 rPFSおよび全生存期間 (OS) の改善を認めた治療法はまだ開発されていない。
EORTC / CTI / CUOG / LACOG / UNICANCER-GETUGの共同研究であるEORTC-GUCG 1333 / PEACE-3試験では、 mCRPCの1次治療におけるエンザルタミド+放射性医薬品²²³Raの併用療法の有効性を検討した。
無症状または軽度の症状があり、 WHO PS 0~1でエンザルタミドまたは²²³Raの投与歴および内臓転移がなく、 ADTを継続中の骨転移ありCRPCを対象とした。
患者を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。
主要評価項目は画像診断による無増悪生存期間 (rPFS)だった。
副次的評価項目には、 OS、 次の全身治療までの期間 (TTNT)、 最初の症候性骨関連イベント (SSE) までの期間、 安全性などが設定された。
今回は、 追跡期間中央値42.2ヵ月における中間解析の結果が報告された。
ドセタキセルの投与歴ありはEnza+²²³Ra群で30.2%、 Enza群で30%だった。 アビラテロンの投与歴ありはそれぞれ2%、 3%だった。
エンザルタミドの投与期間中央値は、 Enza+²²³Ra群が17.3ヵ月、 Enza群が14.0ヵ月で、 Enza+²²³Ra群のうち、 87.9%が²²³Raを6サイクル投与完了した。
rPFS中央値はEnza+²²³Ra群で19.4ヵ月(95%CI 17.1-25.3ヵ月)、 Enza群で16.4ヵ月(同 13.8-19.2ヵ月)、 HR 0.69 (同 0.54-0.87)、 log-rank p=0.0009で有意な改善を示した。
24ヵ月rPFS率はEnza+²²³Ra群が45%、 Enza群が36%だった。
事前規定された全てのサブグループにおいても、 Enza+²²³Ra群のEnza群に対する優位性が一貫して認められた。
OS中間解析の結果、 OS中央値はEnza+²²³Ra群が42.3ヵ月 (95%CI 36.8-49.1ヵ月)、 Enza群が35.0ヵ月 (同28.8-38.9ヵ月)で、 HR 0.69 (同 0.52-0.90)、 log-rank p=0.0031だった。
事前に計画された中間解析における有意水準のp≦0.0034を達成していたものの、 本結果は非比例ハザード性で、 制限平均生存期間の感度分析でも明確な有意性が得られなかったため、 試験はOS最終解析まで継続されることとなった。
24ヵ月時TTNT率はEnza群が50.9% (95%CI 43.6-57.6%)であったのに対し、 Enza+²²³Ra群では29.9% (同 23.6-36.4%) と有意に低かった (HR 0.57 [95%CI 0.44-0.75]、 p<0.0001)。
24ヵ月時点でSSEを有する患者の推定割合はEnza+²²³Ra群で17.8% (95%CI 12.9-23.4%)、 Enza群で18.0% (同 13.2-23.4%) だった (HR 0.93 [95%CI 0.62-1.38] )。
Grade3以上の薬剤関連有害事象 (AE) はEnza+²²³Ra群で28%、 Enza群で19%に発現した。 死亡に至った薬剤関連AEは、 両群ともにみられなかった。
Gillessenは 「本試験では、 骨転移のあるCRPCの1次治療としてエンザルタミドに²²³Raを6サイクル追加することで、 rPFSが有意に改善し、 またOSにも利益をもたらす可能性が示唆された。 これらの結果は、 エンザルタミド+²²³Ra併用療法が、 骨転移を有するCRPCに対する新たな1次治療の選択肢となる可能性を支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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