海外ジャーナルクラブ
1年前
Katoらは、 間質性肺疾患の急性増悪 (acute exacerbation of interstitial lung disease : AE-ILD) 発症後の患者を対象に、 チロシンキナーゼ阻害薬ニンテダニブの有効性と安全性を後ろ向き研究で検討。 その結果、 ニンテダニブの投与は90日死亡率と急性増悪の再発までの期間を改善した。 本研究はSci Rep誌で発表された。
単施設後ろ向き観察研究データ解析であり、 介入群は11例と非常に少ないですが、 このようなデータの報告を積み上げていくことに意義があります。 当然ですが本研究の結論はmayを使用した弱い表現です。
ニンテダニブはILDの最初の急性増悪までの期間を延長する。 しかし、 AE-ILD発症後のニンテダニブ追加投与の効果は不明である。
2014年4月~2022年3月にAE-ILDを発症した症例のうち、 ニンテダニブ未投与の患者:33例
患者を以下の2群に分類
AE-ILD発症後の生存期間、 90日死亡率、 AE-ILDの再発までの期間、 胃腸障害および肝機能障害の発現率
ニンテダニブ群の生存期間中央値は対照群よりも長い傾向にあった。
90日後の累積死亡率はニンテダニブ群で有意に低かった。
ニンテダニブ群のAE-ILDの再発期間は対照群よりも有意に長かった。
ニンテダニブ群の胃腸障害や肝機能障害の発現率は9.09~18.18%であった。
動脈血酸素分圧 (PaO₂) / 吸入酸素濃度 (FiO₂) 比高値、 AE-ILD発症後のニンテダニブの不投与が独立した危険因子であった。
ニンテダニブの投与はAE-ILDの患者にとって有効であり、 重篤な副作用は認められなかった。 ニンテダニブはAE-ILDの治療選択肢として考慮されうる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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